3月19日、まちつくりカフェを開催しました。
今回のテーマは、「再生可能エネルギー」。
待ったなしの地球温暖化問題に際し、火力発電所はドイツの様に一刻も早く廃炉にしてほしい。
しかし、今の再生可能エネルギー(自然エネルギー)って本当に環境にいいの???
というところに迷いがありました。
日高市は、高麗本郷メガソーラー問題も決着がついていない状況です。
自然エネルギーの推進が、このような自然破壊に繋がってしまうのであれば、本末転倒…。
しかし、のほほんと考えてる場合じゃないこの切羽詰まったエネルギー問題。
この疑問を解決したく、今回、再生可能エネルギーといえばこの方!グリーンピープルズパワー社長、竹村英明さんをお招きして、ガッツリお話を伺いました。
はじめに
「1990年代後半、再生可能エネルギーは原発の代わりになるのか?と考えはじめ、ある時、これでいける!!という確信をもった。世界はこれで進んでいるのに、日本は20-30年遅れている状態。」
と語り始める竹村さん。
イージーパワー社/グリーンピープルズパワー社(以下GPP社)の代表として、電力販売をされています。
竹村さんとは、2018年、オーガニックライフスタイルEXPOに参加した際に、GPP社が出展ブースを出されていたのが出会い。
そこで数分お話を伺い、この人は何だかわかんないけど凄い!!と感じ、帰って早速、家の電力会社をGPP社に切り替えて以来、いつかちゃんとお話を伺ってみたいと思っていたのでした。
そして、念願かなった今日、やはり、竹村さんのお話は明快で、何より、大変共感できる理念をお持ちでした✨。
お話の内容を、ぜひ皆さんにもお伝えしたく、頑張って書きました。
ちょっと長いですが以下、ご興味のあるところだけでも、お読みいただけましたら幸いです。
1.再生可能エネルギーってなに?
「自然エネルギー」とも呼ばれ、自然界から絶えず供給されるエネルギー(太陽光、水力、風力など)を言います。
火力も原子力も、燃料に大変な費用がかかりますが、自然エネルギーはそれがタダ、そして、CO2を排出しないのが特徴です。
従って費用は主に設備費になりますが、近年、そのコストは大量生産によって大きく下がってきており、同時に世界では大変な勢いで、自然エネルギーによる発電量が増加しています。
- 世界で拡大する自然エネルギー(出典:自然エネルギー財団HP)
*縦軸は、使用電気量(TWH:テラワットアワー)←つくった電気量ではなく実際に使われた電気量
2.再生可能エネルギーって本当に環境にいいの?
この積年の疑問に、しっかりお答えいただきました!
以下、1つずついきます!
①設備が返って環境を壊すのでは?
結論としては、やり方次第。
例えば太陽光発電。
森林を伐採しての設置はありえないのはもちろんのこと、基本的に山地につくるのはNGだそう。
大雨による土砂崩れや洪水の原因になります。
規模は、いわゆるメガソーラーは環境負荷が大きくなる場合が多く、そもそも電気は地産地消が良いという理想からすると、主に対象にすべきは中小規模のソーラー。
休耕地などの平地が適しているとのこと。
また、ソーラーシェアリングと呼ばれる構造体でつくれば、ソーラーパネルの下を畑にして作物がつくれます。
- ソーラーシェアリング…遮光率は30-40%程度
除草剤や除草シートの問題もよく指摘されますが、
GPP社では、人手で草刈りしている事業者を選んで購入しているとのこと。
(年に2回程度、仮払機で除草するくらいは大した人件費にはなりませんよ、とのこと)
また、風車なら、
・工場地帯や、海洋の上が良い(オホーツク、青森、茨城など)
・民家から最低1kmは距離を置く(日本の制度だと200m~300mと言われているが、その距離では低周波による人体への影響が報告されている)
・山地はNG(森林保護や野生動物保護の観点だけでなく、そもそも風向きが一定しないので採算性が合わない)
このように、適正な規模・立地・運用方法で、環境負荷を十分少なくできるとのことでした。
また、GPP社で特に大事にしているポイントは、「地域が受け入れている発電所か?」という点。
竹村さんから見てOKな場所でも、地元の方々の反対運動があるような発電所の電気は買わない、とのことでした。
②発電設備をつくるためのエネルギーが大きいのでは?
この疑問に答えるものとして、以下のような指標があります。
- EPT(エネルギーペイバックタイム)…設備をつくるために使うエネルギーを、発電によって得るのに必要な期間
- CO2PT(CO2ペイバックタイム)…設備をつくるために使う排出したCO2を、回収するのに必要な期間
太陽光の場合、いずれも、だいたい1~2年とのこと。(太陽光発電のLCA評価 産業総合研究所 2008年1月)
つまり、設備をつくるのにかかったエネルギーや排出したCO2は、1-2年その設備を使用して発電することによって相殺できるということの様です。
③太陽光パネルは、寿命が短く、また廃棄が問題になるのでは?
今のパネルは、なんと最低30年は使えるそうです。
「たぶん40年は使えます。50年は、まだ実用化からそれだけ年月が経ってないのでわかりません。」
とのことでした。
そして気になる廃棄の問題。
「実は、太陽光発電パネルはあまり捨てるところがありません。」
枠はアルミ、本体はガラスとシリコン、銀と銅の電線でできています。
パネルの材料はどれも有価物で、リサイクルの優等生です。
・アルミ…高く売れ、ほぼ完全にリサイクルされる
・ガラス…化学物質を配合した特殊強化ガラス(車のフロントガラスのようなもの)なので、板ガラスや瓶には再生できないが、セラミック食器やタイルにはできる
・シリコン…スライスして溶かせばまた使える貴重な資源
・銀と銅…言わずもがな価値のあるリサイクル品
いずれも粉砕してリサイクルするので、震災等で壊れたパネルも当然リサイクル可能。
リサイクルできないのは、裏に貼るビニールぐらいなもの、とのこと。
まだ寿命を迎えた廃棄パネルが出てきていないので、ほとんどリユースに回っておりリサイクル事業がまだ産業化していませんが、2019年の法整備でリサイクルが義務化されたことを受けて、いま各社が事業を立ち上げたところ。10年後には事業化されているだろう、とのことでした。
3.再生可能エネルギーだけで電力は足りるの?
自然エネルギーが環境に良い!ということは分かりました。
しかし、自然エネルギーだけで、日本の電力はまかなえるのでしょうか??
世間では、それは難しいからやはり火力や原発に頼らざるを得ない…みたいな論調があるように感じます。
この点、実際どうなのでしょうか。
環境省の調査(平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査)によると、
・2017年度の日本の電力需要は9,588億kWh(資源エネ庁、電力需給速報 )に対して、
・国内の風力発電のポテンシャルは3.7兆kWh。
つまり、日本は風力だけで今の需要の約4倍も発電できる!ということになります。
もちろん3.7兆kWhめいっぱい発電所を置いたら色々問題はありそうですが、上記の調査では、いくつかの現実的な導入シナリオによるシミュレーションもあり、そこでは、省エネが進むことも想定すれば、2030年には風力だけでも日本の総電力をまかなえるという試算が成立するとのこと。
このセンセーショナルなニュース✨!!
意外と知られていないのは、国が発表したタイミングと3.11のタイミングが重複したことで、大きなニュースにならなかったのが要因だそう。。
そして、太陽光発電はというと、
・日本の荒廃農地(28万ha)だけにソーラーシェアリング(上記の、農地と共存できるタイプのパネル)を置くことで、1280億kWhで日本の電力需要の約12.8%。
・耕地面積の半分(200万ha)がソーラーシェアリング になれば、8300億kWh。
つまり、数字的には農地太陽光だけで日本の電気を賄えます。
山や森を破壊するメガソーラーは要りません。
ではなぜその後も自然エネルギーが脚光を浴びないのか?
政府の2030年の目標でも、自然エネルギーの割合は微増に留まっています。
それは、やはり既得権益の問題の様です。。。
(送電容量の問題など、色々お話いただきましたが、詳細はここでは割愛します。)
しかし、政府の目標がどうであれ、私たち消費者が自然エネルギーを選ぶことで、原子量や火力にNoと言えば、実際の結果は全然変わってくるのではないでしょうか✨。
4.家庭の電力を自然電力に?
家の電気を自然エネルギーに変えた方が良いことは分かったところで、やはり気になるのは料金と手間やリスクですよね。
そのあたりも、しっかりお話いただきました!
①環境に良い電力って料金が高い?
電気料金はほとんど変わらない、というのが実際のようです。
私もGPP社さんに切り替えましたが、変わらないか、省エネを心がけたのもあってか、むしろ下がった印象です。
自然エネルギーの会社さんの多くがHPで見積もりできるようになっていますが、やはり差がない様です。
*GPP社の電気料金シュミレーターはこちら。
発電にかかるコストについては、ざっくり以下の通りだそう。
- 陸上風力:5円から10円/kWh
- 太陽光:6円から17円/kWh
- 原子力:13円/kWh(←放射線廃棄物処理や安全対策は含まず)
- 火力:8円~10円/kWh
- 石炭:6円/kWh
*IRENA(国際再エネ機関)や政府発表データより
現時点でこれなら、確かに設備がもっと大量生産によって安くなることを考えると、自然エネルギーは安い電力と言えそうですね。
(そして原発は高い!!!)
②電力会社を切り替えるって面倒くさい?
切り替えにかかる時間は5分です!
私たちがすることは、申込書に記入して送るだけ。
あとは、既存の電力会社と、切り替え先の電力会社の間で作業が完了します。
*GPP社の申し込みページはこちら。入力はとっても簡単です。
電力会社の切り替えって、単にどの会社に電気料金を払うかが変わるだけで、来る電気も使用する設備もまったく変わりません。
なので、電気を替えることによるトラブルは何もありません。
「え!自然エネルギーで作った電気を買うんじゃないの??」
いえいえ、そうではありません。
自然エネルギーも火力エネルギーも、発電された電気は同じ設備に集められて、同じ配線を通って配電されます。(つまり、ところてん方式)
ただ、自然エネルギー発電施設から電気を買って販売している会社さんから私たちが電気を買うことで、自然エネルギー発電施設にお金が流れるので、結果として自然エネルギーが増える、ということなんです✨。
③電気会社はどうやって選んだらいいの?
パワーシフトキャンペーンという活動によって、電力会社を評価して、紹介しているサイトがあります。
↓↓↓
パワーシフト~電気を選べば社会が変わる~
ぜひ、お住まいの地域の会社さんの中から選んでみてください。
なお、GPP社(グリーンピープルズパワー)の特徴は?と伺ってみたところ、
- 大きな資本を入れない(主な収入は5万円単位の株主と、市民からの電力だけ)
- 発電設備へのこだわり(これまでお話いただいたような基準でしっかり選んでいる)
とおっしゃっていました。
関東地域にお住まいの皆さん、GPPさんも是非ぜひご検討ください✨。
5.最後に…
「自然エネルギーを使ってくれる人がいてはじめてつくれる。買い手が増えることが一番の力になります。」と竹村さん。
市民が望む電気を、市民が買うことでつくられる。つまり市民が電気をつくる。
そうすることで、政治が変わり、社会が変わる。
雇用、教育、平和にも貢献できる会社でありたい。
とおっしゃっていました。
今後は、「地域オフグリッド」を目指したい、とのこと。
地域単位のオフグリッドが実現すれば、石炭も原発も巨大送電線もいらなくなり、配電ロスも少なくなる。
下の図の、左半分だけで良くなるということですね。
青海島では、100%プロジェクトといって、そういった取り組みが始まっているそうです。
このあたりでは、秩父市で「秩父新電力」が出来ましたね。
日高市でも私たちが望めば、日高電力、実現は難しくないのではないでしょうか。
また、そこまで大きくしなくても、10家族でも集まって出資し合えば、空き地にソーラーを作って自給することは可能です。
何もオフグリッドにしなくても、自給で足りないときは、一般の電気を使えばいいのです。
できるところから、始めていきたいですね!!
まとめ
温暖化は困るけど、自然エネルギーって本当にいいの??
という疑問に、分かりやすく丁寧に教えていただきました。
自然環境保護に熱心な人ほど、太陽光パネルは良くないという情報にあたり、悩んでいる方が多いという印象です。
*古いデータに基づくEPT等により、太陽光パネルは省エネにならないと主張されていることもあるそう。
そんな方々に、今日のお話が届くと良いな!と、気合い入れて書きました。
そして、なんと竹村さん、今日の資料は誰にでも公開OK!とのこと。
欲しい方はお気軽にメッセージくださいませ。
竹村さん、このたびは素晴らしい機会を本当にありがとうございました✨。
次回のまちつくりカフェ
次回のテーマは、「オリエンテーリング」。
皆さん、知っていましたか?
オリンピック種目にもなっている人気のオリエンテーリング。
日高の日和田山周辺は、オリエンテーリングの常設コースなんだそうです✨。
そして!なんと日本選手権チャンピオンにもなった田島利佳さんが、飯能在住というご縁で、次回まちつくりカフェにいらしてくださることになりました!
当日は、日和田山の周辺を歩きオリエンテーリングをプチ体験。
そして、ぷーちゃんち。に帰ってきたら、オリエンテーリングの魅力を語り合いましょう~♪。
●日時:4月21日(火)10:00-12:00
●集合場所:ぷーちゃんち。
埼玉県日高市高麗本郷253-1
●参加費:500円(お茶・お菓子代)
●講師:田島利佳(たじまりか)
小学生のころ 父に連れられてオリエンテーリングを始め、2012年に念願の日本選手権チャンピオンになる。この数年は読図講習の講師やロゲイニング・オリエンテーリングイベントのディレクターなどを務め、自らイベントも企画している。
2015年7月に独立。より幅広く、子どもからシニア世代まで、アウトドアでの地図読みができるよう講座等に積極的に携わっている。
休日は地元の奥武蔵をのんびり歩いたり走ったり、夏山をテント縦走するなどアウトドアに親しむ。ノルウェーでのトレッキングとビールをこよなく愛す。
アウトドアで楽しく安全に遊ぶためにナビゲーションスキルは必須、そのスキルを伝えていくこと、地図読みの最初の一歩を入りやすくするための活動を日々考え中。
少しでも地図好き、地形萌えの人が増えますように。