3/29、「自治体議会改革フォーラム」主催の、
議会改革と言えばこの方、法政大学の廣瀬克哉さんがコーディネーター、山梨学院大学の江藤俊昭さんがコメンテーター、
今回、コロナ感染防止対策として、3月議会で全国ではどのような対応がなされたのか、その反省は?次にどうつなげられるか?という観点で、様々な事例や意見が飛び交いました。
主なメッセージとしては、
- 非常事態においても、安易に議会の機能を縮小させるのではなく、議会の役割をいかに失わずに機能させるかを考えるべき。
- 非常時には、議会の日頃の姿勢が問われる。議会として、住民自治における議会の役割を意識して活動し、議員間討議をしっかり行っていれば、非常事態にも適切に対応できるはず。
- 地方自治の観点で、国の方針に対し、執行部はどう対応し、議会はどう動いたのか、今後どう動くのかが問われている。
- コロナが長期戦になることを想定し、議会基本条例における規定の見直しや、BCPの導入が必要。
ということだったと理解しました。
専門家の先生達のご意見や、全国の様々な立場の議員さん達の様子を知ることができて、色々考えさせられました。
日高市は、今回の緊急事態において、会派や議員個人としては様々に動いている様ですが、議会としてはあまり動いていない状況です。
日高市には、まだ議会基本条例自体もありません。
議員や行政の方々とご相談しながら、出来ることから進めて行きたいと思います。
皆さまもご意見ご要望お聞かせください。
以下、当日、参加しながらとった簡単なメモですが、載せておきます。
*個人的なメモなので、表現の偏りや誤解があるかもしれません、ご了承ください。
取り上げられたテーマはざっと以下の通りでした。
- 傍聴自粛について
- 一般質問の取り下げについて
- 審議時間の圧縮について
- 文書質問について
- 議会版BCPの必要性について
- ほか、今後の対応について
傍聴自粛について
- 自治法における公開原則があるから、本会議は傍聴禁止はできない。
メディアに取り上げられた傍聴を「禁止」や「中止」とした議会の数は、自粛をそれにカウントしていたりするので注意が必要。 - 傍聴禁止については、「秘密会」の場合のみできるが、今回の状況は秘密会の開催理由にならないのでNG。(その対応をした自治体はおそらくないはず)
- 「開かれた議会」という流れのなか、ほとんどの自治体で委員会にも公開原則が適用されているはず。
多くの自治体は委員長の許可制をとっている。委員会も原則公開という条例を持っている自治体も多い。 - 傍聴の自粛(どうしても傍聴したい人については、感染への配慮をしたうえでOKとする)はできるが、ネット中継など代替手段の提示や、住民に対するしっかりした説明は必要。
- 普段から住民参加についてよく考えている議会は、この状況でもなんとか傍聴してもらえるよう柔軟な対応をしている印象。
- 本会議以外についてはネット中継の環境が整っていない自治体が多いので、環境が整うまでは、柔軟な運用で解決する必要がある。
事例)秩父市議会
委員会については、常時換気で公開。
本会議場は換気が難しい構造であるため、議場前のロビーと委員会室にモニターを設置し傍聴席とした。
ほか、委員会を本会議場で開催した事例も。
- 委員会も直接傍聴以外の公開手段を持つべきということは、今回の教訓と言える。
6月議会に間に合わせるのは性急かもしれないが、仕方ないではなく、早急に実現する努力が求められる。 - 今後、こういった観点で会議規則も見直す必要。(例:「議場に参集する」といった記載)
一般質問の取り下げについて
- 一般質問こそが花だと思っている議員が多いが、一般質問は提言の場であり、議会は監視機能という観点では、相対的に重要なのは議案審査である。
- この状況において議会が最大限の責務を果たすために、相対的に劣位にある一般質問をどう扱うかを、個々の議員が判断し、議会としてはその議員にとって一番適切な対応をするというようにすべき。
- 一方で、議会の質疑権、質問権に制約を課すことについて、多くの議員があまり抵抗を示さずむしろ積極的に取り下げる議会も少なくなかった。
- 取り下げた自治体は、質問者の自主的な取り下げとしているが、なぜ取り下げとしたかの説明責任は果たす必要。
– 取り下げを決定した経緯
議員の自己判断や議会の合意という立場をとりつつも、事実上の強制力がなかったか、取り下げない場合は非常識と言わんばかりの扱いがされていなかったか。
– 取り下げ理由
行政機関の負荷への配慮をあげる自治体が多いが、ただ漫然と遠慮するのではなく、合理的な検討がなされたか。
例えば、一般質問への答弁そのももの負荷と、当日、本会議場で長時間拘束されることへの負荷、部署によるコロナ対応業務量の違いなど、どう議論がなされたか。
- どの議員がどういう一般質問をする予定だったかを公開することも大切。
市民への説明責任があるなかで、議論なくHPから削除などということがあれば、大変な問題である。 - 取り下げた質問に対して、今後どのように対応するか(6月議会で一般質問の時間を拡大するなど)まで決めて説明する必要。
– 第一質問文は文書で提出し、6月議会でこれを深めるという位置づけとした例も。 - 規模を縮小したり、柔軟な対応で実施した事例も多い。
– 説明員を減らした
– 答弁者を必要最低限に限定した
– 執行部(特に教育長、保険福祉部長)に、コロナ対応のための随時退席を許可した
– 対策会議のため、休憩を入れた
– 16時には終えるようにした
審議時間の圧縮について
- 審議時間をどう圧縮するかは、多くの議会で検討された。
事例)小金井市
小金井は長時間審議で有名だが、議案審査に集中し、夕方には終わらせるようにした。
議案審査を優先という結論になり、その他については質問を控えるようにした。陳情はほぼすべて継続審査にした。
– 6日間の予算審査を3日間に短縮した
– 17時までに終えるようにした
- 短縮にすることで、各議員が予算の審査、調査について手を抜く結果になっていないか。
- 予算審議において、実は議員からの文書での資料要求が執行部にとっては最大の負荷となっている自治体も。
- 閉会中も委員会が機能しているところは、コロナの前から事前に議案を察知して議論できていた。
文書質問について
- 文書質問という制度を持っている議会もある。
事例)所沢市
3.11の際は、3月議会の一般質問を、すべてを文書に切り替える前提でいったん取り下げて、4月以降に文書質問し、文書答弁を得、公開した。
- 文書での回答は負荷がかかるので、文書で実施した自治体は多くない。
習志野市議会は、平素から、答弁書が文書で返ってくる。再質問は一問一答だが、それに対しても事前に答弁書が文書でくる。 - 文書質問は、基本条例で儲けている議会がある。公開することも含めて条例や規則に入れるべき。
制度としてもっていれば、今回のようなケースで適応しやすい。 - 文書質問は、閉会中にも役立つ。
議会版BCPの必要性について
- 非常時に、本来あるべき機能をどう継続できるか。
- 古賀市の「議会のコロナウィルス対策会議」を立ち上げた事例は、今後に繋がる良い取り組み。
- あらかじめルールをつくっておくと、いざというときに素早く対応できる。
災害時議員行動マニュアルを作成している自治体も多い。地震・津波・風水害を想定し、対策会議の設置を定める。
事例)所沢市議会の基本条例には災害対策も含まれている
- 危機に対応すると言う側面と、緊急に執行機関が動かなければならない事態に、議会が足を引っ張らないようにするという側面がある。
- あくまで二元代表制から考えると、市長を本部長とする災害対策に一元化されるべき。
- 議会はできるだけ情報共有して、窓口を一本化してやりとりできる体制をとるべき。
- 対策会議が決めたことは、議員はそれを守る義務があるということも付記する必要。
- BCPの中に、自然災害はうたっているが、感染などはうたっていない自治体がほとんど。今後、どうするか。
- 議場に参集すること自体が問題という場面になったときに、議会という合議体がどう機能できるのかは検討しなければならない。
今後の対応について
- 今後、行政の対応や議会の対応を、どこかの時点で振り返り、評価、教訓の確認が求められている。
- 休校に際し、教育委員会はどう対応したのかを議会として評価し、今後のために提言するとよい。特別委員会などもつくるべき。
- 経済が疲弊しているなかで、地方行政も、国を待つだけでなく対応が問われる。つまり、議会の動きが問われている。
事例)つくば市は、執行部が提案して、議会が良い対応ができた良い事例。
まず学校を開放する決断を執行部が提出。さらに、3月第2週には、観光・飲食店への緊急対策を追加議案提出し、追加日程で対応。
議会としては、その後、観光飲食以外の対応を求める議決を全会一致で可決。