質問趣旨
人工知能(AI)の進化やグローバル化により、社会が急速に変化する時代。
2015年、オックスフォード大学と株式会社野村総合研究所の共同研究により、20 年の間に日本の労働人口の約 49%が就いている職業が、AIやロボットに置き換わると推計され、大きく話題になりました。
従来の受験勉強に象徴されるような、知識をいかに効率よく吸収しペーパーテストに回答するかといった事務処理能力は、まさにAIにとって代わられてしまう能力であり、学校教育は大きな変化が求められています。
このような時代の流れをうけ文部科学省は、学習指導要領を大きく改定し、昨年度より小学校、今年度より中学校に適応されました。
この新学習指導要領では、学校で身に着けるべき力を「生きる力」と表現し、それは、「これからの社会が、どんなに変化して予測困難になっても、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現する力。明るい未来を、共に創っていく力。」であるとうたっています。
大変すばらしい目標であると共感するところではありますが、今の私たち大人や学校現場の教職員たちも、身に着けているとなかなか言い難いこの「生きる力」を、子ども達が獲得していくための学校教育とはどのようなものなのか。教育現場も今、大きな改革が求められています。
これからよりいっそう市・学校・住民の対話が求められていくなかで、これからの学校教育について市の展望をお伺いします。
質問と答弁(イメージ)
※かなりかみ砕いた&カジュアルな表現にしています。実際の議場でのやりとりはこちら(一般質問全文)からご確認ください。
答弁:日高市教育委員会 秋馬参事
日高市としては、そもそもどんな教育を目指しているのでしょう?
双方向型の一斉授業や、一人ひとりの教育的ニーズや学習状況に応じた個別学習など、あらゆる場面で取り入れていきます。
タブレットを使用すること自体が目的化しないよう留意しながら、主体的で協働的な学びのツールとして、子ども達が文房具のように気軽に扱えるようにしていきたいです。
研修を充実させ、また県がつくった良い授業の事例動画を紹介するなどして、講義型の授業から「考えさせる授業」への転換に努めているところです。
テストで深い概念的な理解を問うように工夫するだけでなく、授業のかたちを色々工夫したり、生徒の発達段階や個性を含めよく観察したりして、多面的に評価する必要があります。
新学習指導要領では、「保護者や地域住民が、学びの方向性を確認し、学びの輪に加わる」重要性が強調されています。
各学校のホームページにも色々掲載していますので、今後、積極的にアナウンスしていきます。
コミュニティ・スクールは教育改革の大きな基盤となると思いますが、市の考える将来像は。
逆に、学校を中心に、地域と協働し地域の活性化を図る「学校を核とした地域づくり」を目指すものであります。
コミュニティ・スクールの成果として、「特色ある学校づくり」とうたっていますが、ここでいう特色とは、市はどういったものを期待しているのでしょうか。
例えば、「環境や自然教育を重視する」「福祉施設との連携を強める」「英語教育に力を入れる」など地域の力でできる教育機会を考え、独自の教科やカリキュラムをつくるということが出来たらいいですね。
特色ある学校というと、今もっとも注目されている事例の一つに、千代田区立麹町中学校の取組みが挙げられると思います。
子どもたちの”主体的な学び”の原理原則に立ち返り、”学校の当たり前”を見直し、宿題や定期テストの廃止、個別担任制を廃止してチーム担任制にするなどの改革を進め、全国から注目されています。
もちろん麹町中学校のやり方がすべて正解というわけではなく、さまざまな解があってしかるべきかと思いますが、こういった種類の改革の是非、導入の検討も、学校単位で議論していくということになるのでしょうか。
今後、そういった踏み込んだ議論を、地域の実態に即して学校運営協議会ごとに熟議していただきたいです。
学校運営協議会とは?
日高市では昨年4月より、学校運営協議会が設置され、活動がスタートしています。この協議会は、学校運営における意思決定機関であり、ここで、教育方針や教職員の任用だけでなく、たとえば地域の人材の活用、タブレットの活用、学校設備や畑の管理、部活動についてなどなど、学校運営に関するあらゆるテーマについて決めることのできる会議体になっています。
学校運営協議会でそこまでの深い議論をしていくとなると、年間わずか5回の会議(←予算の問題💦)って非現実的ではないですかね。。
テーマごとに関心のある人が自由に集まって活発に議論できるよう、有志で分科会のような場を持って、そこで深く議論して案をつくり、最後に学校運営協議会で審議・決裁するといった流れが必要では。
そこで、教育委員会では、各地区に地域学校協働本部の設置を進めています。
これは、幅広い地域住民の参画が参画し、学校運営協議会で承認したことを連携・協働しながら実現していく組織です。
現在、各地区では、学校応援団や青少年健全育成の会などの既存の組織を発展的に整理し、緩やかなネットワーク作りを進めております。
そこに、学校づくりに興味のある保護者や地域の方々にも、積極的に参画していただきたいと考えています。
さらには、地域学校協働活動推進員の設置・任命について検討を進めているところです。
学校運営協議会に対する地域のサポート体制はよくわかりました。
あとはやはり、学校運営協議会のやはり一番のリーダーである校長先生に、今後ますますのリーダーシップが期待されると文科省も言っていますが。
また、学校運営協議会委員を始め保護者や地域の方々には、このコミュティ・スクールの仕組みを、責任感と主体性をもって最大限に活用することで、校長が一層のリーダーシップを発揮できる環境を整えていってほしいと思います。
教職員の方々が忙しすぎる状況では、なかなか新しい取組みは進みにくい現実があると思います。
教職員の方々に、より健全な心身をもって、より前向きな気持ちで、教育活動や自己研鑽に努めていただけるよう、働き方改革も併せて進めていく必要性を感じています。
日高市でも学校の働き方改革をスタートしつつあると思いますが。
さらに、学校行事の精選、会議の縮小や職員会議のペーパーレス化など、業務の効率化や適正化を進めているところです。
そこで、部活動に対して地域の指導者や保護者などの参画や協力を得られるよう研究を進めています。
今後も引き続き、保護者と、働き方の現状や課題について共有していきたいと考えています。
最後に、これからいっそうの働き方改革が進められていくかと思いますが、その進捗や成果について、市として評価・検証はしていきますか。
アンケートの結果が楽しみ!地域の皆さんにも興味をもって見ていただけたらいいな。
以上、ご答弁ありがとうございました!!
質問全文はこちら
実際の議場でのやりとりについては、質問全文をご参照ください。
→一般質問全文へのリンク
動画(議会中継)
日高市議会中継で動画が見られます。
「令和3年第3回定例会09月13日 一般質問」をクリック!
まとめ
学校教育については、日ごろからお母さん方を始め、多くの方々からご相談をいただくテーマです。
そこで、よく感じるのが、教育委員会⇔学校現場⇔保護者や地域の方々の認識の乖離です。
実は同じ方向を向いている、ということをお互いに知ることができたら、協働がより一層スムーズに、前向きに進むと思っています。(教育にかかわらず全てですが…)
今回は、教育委員会が何を考えているのか、なかなか地域の皆さんに伝わる機会が少ないかなと思い、私として皆さんにお伝えしたいことを、一般質問を通じてご答弁いただきました。
教育改革やコミュニティ・スクールは、とても夢のある、わくわくする取り組みだと感じています。
これからも、わくわく楽しく、真剣に、地域の皆さんと議論していきたいと思っています!