本記事は、質問全文になります。
簡単なまとめはこちら↓↓↓に掲載していますので、良かったらご覧ください。
一般質問全文:
2番、公の施設の使用料等の減免見直しについてです。
日高市は現在、公民館や高麗の郷の会議室等の使用料について、公民館は登録サークル、高麗の郷はボランティアセンター登録団体が、全額免除されています。
これを、市民全体の平等性を確保するために、受益者負担の原則のもと、減免について統一的な基準をつくる必要があると、このたび市は「公の施設の使用料等に関する統一的な基準」案を作成し、本年10月、市民コメントが募集されました。
「受益者負担」とは、行政サービスにかかる経費のうち、特定の者がサービスを利用して利益を受ける場合に、その利益を受ける側、すなわち受益者から徴収して賄うという考え方であり、地方自治法により認められているものです。たとえば住民票取得の手数料や、公営住宅の家賃などがそれにあたります。
受益者負担の原則による平等性の確保という考えは、一定の合理性はあります。
しかし、ボランティア活動やサークル活動、まちづくり活動といった市民活動の恩恵の多くは、市民全体が直接的・間接的に享受しているものであり、彼らが活動のために公の施設を利用する場合の経費は、誰がどのように負担するのが真に平等なのか、中長期的な視点で市民全体の利益になるのかということは、今の市民活動の実態を丁寧に把握しながらの、深い議論が必要と考えます。
また、文部科学省の見解を伺ったところ、公民館の使用料について、地域に貢献する活動であれば、その活動を奨励するために減免するという考えは合理性があるとの回答があり、全国公民館連合会の2018年の調査によると、9割を超える自治体が全額免除規定を設けているという状況もあります。
まだ本件については検討の過程だと理解いたしますが、現時点での市の見解をお伺いします。
(1) 見直しの背景と考え方は
今回の見直しに至った背景と、その基本的な考え方をお聞きします。
総合福祉センター「高麗の郷」や各公民館を始めとする公の施設では、それぞれの施設の条例において使用料を定めており、施設を使用する際には既定の使用料を納付していただくことを原則としています。
その一方で、障がい者への配慮や、社会教育団体などの活動を支援・推進する観点から、使用料の減額・免除制度を施設ごとの基準により特例的・政策的に設け、利用者の負担額を調整することで施設利用の促進を図ってまいりました。この結果、令和元年度の公民館の使用状況では社会教育団体が約83%を占めており、その設置目的を効果的に達成するという一定の効果を上げております。
しかしながら、このことがコストに対する収入の比率を低くしている原因の一つとなっており、また、施設ごとに異なる基準により減額・免除を行っていることから、施設を利用する人と利用しない人との平等性、そして、利用者間の負担の公平性が損なわれている状況にあります。
平成25年9月に行った『公共施設サービスに関する市民アンケート調査』において、「現在の公共施設の利用料金に対してどう考えるか」という質問に対する回答では、「経費は全て税金でまかなうべき」と回答している人の割合が3.4%と最も少なく、負担水準の考えについてはばらつきがあるものの、約70%もの人が利用料金を設定すべきと回答しており、利用者に対して料金の負担を求めるべきと考える人の割合が高くなっています。
また、平成30年3月に策定した日高市公共施設長寿命化計画では、公共施設整備の基本方針において適正な受益者負担の項目を定め、利用者の理解を得られるように努め、適正な受益者負担に関する検討を進めることとしています。
本来、公の施設の使用料は、施設の維持管理や運営に要する経費を、その施設の使用の対価として利用者が公平に負担するものでございます。
このとおり使用料は、公の施設の使用に対してその反対給付として徴収される性格を有するものでございますので、減額・免除の制度が特例的な措置であることを明確にし、その範囲も本来の目的に即して限られたものとする必要があることから、施設利用者の負担、つまり、受益者負担の適正化を図るとともに、市民全体の平等性を担保するため、「公の施設の使用料等に関する減額・免除等についての見直し基準」の策定を検討することに至ったものでございます。
(2)市民の意見収集について
市民活動に大きな影響を与える今回の見直しについて、市民参加の観点で、どのようにして、市民の意見や、公民館の企画運営委員、社会福祉協議会などの関係諸団体を通じた現場のニーズを収集したのか、お聞きします。
基準を策定し、公の施設の減額・免除を見直すことは、市民の活動に大きな影響を与えることから、市民の意見やニーズの収集が重要であると考えております。
その重要性を鑑みまして、本基準の策定については、市民参加手続の対象外の案件ではございますが、「市民コメントの実施」、「審議会の開催」及び「説明会の開催」の3種類の市民参加手続を実施し、より多くの方々からの意見聴取に努めました。
各手続の概要についてでございますが、市民コメントにつきましては、10月1日から11月1日までの間、市ホームページや市役所などの各公共施設において基準案を公開し、意見の募集を行いました。審議会の開催につきましては、10月6日に市の行政改革の推進や行政経営に係る重要事項を審議する日高市行政経営審議会を開催し、基準案について審議いただき、各審議会委員からも市民コメントにて意見をいただきました。説明会の開催につきましては、全6公民館において、公民館に登録しているサークルの代表者を対象に基準案の説明会を開催いたしました。
なお、市民参加条例では、市民参加手続を1種類以上の方法で実施することとされており、より多くの市民の意見を求める必要があると認めるときは、複数の市民参加手続により実施することを努力義務として定めています。
今回は、3種類の市民参加手続を実施しており、条例において努力義務とされている部分も含めて充足しております。
この成果もあって、多くの方から市民コメントをいただくことができたと考えております。
(3)市民コメントの結果について
今回の市民コメントでは、95人から意見が寄せられました。
これは日高市の通常の市民コメントの量からすると桁違いの量と言えます。
それだけ市民の関心が高く、また切実な事案であったと思われますが、市として特に重く受け止めたコメントは、どのような内容だったのか、お伺いします。
只今申し上げた3種類の市民参加手続を実施した成果もあって、95人の方から意見をいただきました。この中で多く寄せられた意見といたしましては、
「ボランティア団体について一定の公益性があるため、公民館や高麗の郷での使用料の免除を継続してほしい。」
「公民館登録サークルについてこれまで無料で使用してきたため、現在の使用料をいきなり払うのは難しい。負担軽減を検討してほしい。」
「市民の平等性・公平性の観点から基準案に賛成するが、経過措置等の負担軽減を行い市民に対し丁寧に周知を図ったうえで取り組んでほしい。」
といった内容のものでございます。
特に、公民館や高麗の郷を利用されているボランティア団体からの意見については、公益性が認められる活動を行っている団体についての配慮の必要性を感じたことと、肯定的な意見をお持ちの方から市民コメントとして意見が提出されることはごくまれですが、今回は基準案について賛成や理解できるといった基準案に賛同する意見も見受けられたと感じております。
(4)見直しの方向性は
市民の声を踏まえ、どのような考えで基準を検討していかれるのかお聞きします。
只今申し上げた多く寄せられた3つの意見を踏まえて、次のとおり基準案の見直しに取り組んでまいりたいと考えております。
1点目は、「ボランティア団体について一定の公益性があるため、公民館や高麗の郷での使用料の免除を継続してほしい。」との意見を踏まえまして、一定の公益性が認められる団体を精査したうえで、負担軽減を図ることを検討してまいりたいと考えております。
2点目は、「公民館登録サークルについてこれまで無料で使用してきたため、現在の使用料をいきなり払うのは難しい。負担軽減を検討してほしい。」との意見を踏まえまして、基準案で示している経過措置のほか、公民館の貸出し体系を見直し、効率的な施設運営による利用者負担の軽減が図られる料金設定とすることを検討してまいりたいと考えております。
3点目は、「市民の平等性・公平性の観点から基準案に賛成するが、経過措置等の負担軽減を行い市民に対し丁寧に周知を図ったうえで取り組んでほしい。」との意見を踏まえまして、現行の案にもございますが一定期間の経過措置を設けるとともに、実施に至るまでの周知期間を設けてまいりたいと考えております。
(5)今後の予定について
どのような事項を検討していく必要があるのか、その過程において、市民が議論に関わり意見できる機会はあるのか、また、新基準適応はいつからになるのか、お伺いします。
只今申し上げた見直しの方向性に基づきまして、今後、ボランティア団体の負担軽減について、その方法や、対象及び負担水準について基準案の見直しを検討してまいります。
なお、今回の市民参加手続を踏まえた上で基準案の修正を行うことから、この修正をもって基準を決定してまいりたいと考えております。ご理解いただきたいと思います。
基準の適用開始につきましては、令和4年4月以降を予定しております。ただし、各施設において令和4年度の範囲内で適用開始日を変更することができる規定を設け、利用者に対する周知期間の確保等に努めてまいりたいと考えております。