※正確な発言については日高市議会HPの会議録または録画を参照ください。
日高市は、10年計画である、「第2期日高市子ども・子育て支援事業計画 次世代育成支援行動計画」が、来年度で終了するため、次の計画策定に取り組み始める時期にきています。
また、国の方では今年度より、子ども家庭庁が設置され、これから国の政策も大きく動き出すことが期待されています。
国の動向を見つつ、日高市の子ども政策における現状や課題を、きちんと把握しておくことで、機を見ながら、日高市ならではの施策をうっていくことができます。
そんななか本日は、市民の方々からのご相談が特に多いテーマを中心に、現状の課題と今後の展望についてお伺いします。
1.子育て支援について
1.子育て支援の課題について
子ども政策を考えるうえで、もっとも注視すべき数字の一つが、日高市の場合、出生率と出生数だと思っています。
合計特殊出生率は、20年以上、全国平均、および埼玉県平均を、大きく下回っている厳しい状況です。
また、特に近年の出生数の急減は著しく、2012年412人から2022年220人と、ここ10年間で約半分になってしまいました。
日本全体の社会状況から、このままでは、少子化は避けられないと考えたとしても、日高市というまちの資源を活かして、工夫していくことで、少子化に歯止めをかけていくことは、十分にできると考えております。
したがって、まずは日高の現状の数字をきちんと分析し、仮説に基づいた施策を打ち、評価・見直しを重ねていくといった努力が必要です。
それなしに、大幅な少子化を前提とした行政サービスの縮小を進めていくことは、市を衰退に向かわせることであり、あってはならないと考えます。
そこで、3点お伺いします。
(1)低出生率と出生数急減の要因は
日高市の長年の低出生率と出生数急減の要因について、どのように認識されていますか。
少子化社会対策基本法に基づき、毎年国が公表しております令和4年版少子化社会対策白書によりますと、少子化をめぐる現状として、婚姻件数、婚姻率は低下傾向が続き、未婚化、晩婚化、晩産化が指摘されております。
新型コロナウイルス感染症の流行がはじまった2020年以降の婚姻数は戦後最少を更新し、昨年の全国における出生数は初めて80万人を下回り、過去最低を更新しました。
国立社会保障・人口問題研究所による2017年に公表された将来推計人口では80万人を下回るのは2033年と見込んでおりましたので、11年も早く少子化が進行したことになります。
新型コロナウイルス感染拡大や物価高騰などに伴い、多くの人が出産や産後の育児に不安を感じたことにより、妊娠を控える傾向に大きかったのではないかと分析しております。
ご答弁いただいたのは全国的なトレンドですが、日高市の出生率は、申し上げた通り全国平均、県平均を大きく下回っていて、県内の市のランキングでは下から2番目、3番目という年が続いている状況です。
その要因を数字で見ていない状況で、子ども政策は考えづらいのではないでしょうか。
一般的に、出生率の要因と言われるような指標、例えば、婚姻率、女性の年齢人口分布、年齢別の出生率、年齢別の転入転出率、子育て世代の所得といったもう既に出ている数字を使って、まずは、県内市町や類似団体と比較をして、日高市の状況を把握してくことは、まず、するべきかと思いますがいかがでしょうか。
少子化は全国的な傾向でございますが、今後本市の現状を分析したうえで、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もがこどもを持てるような社会の実現に向けて、努めていくことが大切であると考えております。
(2)日高に住む子育て世代のニーズの把握は
(3)日高で子育てする良さは
日高で子育てをする良さを、どのように考え、促進していかれますでしょうか。
当市は自然が豊かで子どもがのびのびと生活できることが魅力の1つであると考えております。
住まいのサポート、仕事のサポート、ひとづくりのサポートの3つのサポートを通じて移住者支援にも力を入れており、子どもを育てやすい環境づくりに努め、住みやすい、住んで良かったまちを目指し、今後も本市で子育てする良さのPRに努めていきたいと考えております。
2.産前産後の支援について
産前産後のケアにつきましては、昨年も一般質問いたしました。その際も申し上げましたが、市として一人ひとりをきめ細やかにフォローされているのが、日高市の誇れるところであると理解しております。
一方で、産前産後の母子を支えるセーフティネットとして、本来の役割を果たしきれていない事業も、一部あるように感じており、2点お伺いします。
(1)産後ケア事業の現状と今後の施策は
産後ケア事業とは、産後に心身の不調や育児不安のある母子に対するサポートです。市町村の努力義務となっており、日高市では昨年度より「訪問型」を開始しました。
約280件の利用を見込んだ予算が組まれましたが、実際の利用は1件でした。
産後うつはおよそ10%の母がなると言われているなかで、産後ケアが必要とされていることは間違えありません。ただ、周知の問題や利用料金、利用方法など、何らかのハードルがあり、必要な方に必要なかたちで届いていないと言えます。
こういうものはやってみないと分からない側面が大きいので、まずは産後ケア事業を開始できたということが大きな一歩であり、しかしいまの制度では日高のニーズには当たらないいうことが分かったことも、また大きな一歩として受け止めています。
ここから、訪問型以外の「デイサービス型」や「宿泊型」の導入、自己負担額の見直しなど、制度を柔軟に変更しながら、よりニーズに合ったものを探っていければ良いと考えます。
そこで、産後ケアの利用がほとんどない理由についてのご見解と、今後の施策について伺います。
市では、日高市産後ケア事業実施要綱を定め、産後1年未満の母子で、家族等から十分な家事、育児等の援助が受けられず、かつ、産婦に心身の不調、育児不安等がある世帯を対象に、助産師を居宅に派遣して、母体の管理、生活指導、授乳及び乳房のケア、乳児の発育・発達相談等の保健指導や育児支援を行う「居宅訪問型」の産後ケア事業を令和4年度から開始したところでございます。
事業の根拠となる母子保健法におきましては、産後1年未満の母子を病院、診療所、助産所等に短期間入所させる「短期入所型」や、これらの施設に通わせる「通所型」により保健指導や育児支援を行う類型も選択できることとされておりますが、本市では、出産直後の母子に対する利用のしやすさを考慮し、「居宅訪問型」としたところでございます。
運用にあたりましては、妊娠届出の際にチラシを配布して事業を説明し、出産後の新生児訪問の際には、訪問した助産師や保健師が再度、説明するとともに、産婦に心身の不調、育児不安等があり、家族等から十分な援助が受けられないなど、専門的かつ具体的な保健指導や育児支援が必要であると判断された場合に、産後ケア事業の利用をお勧めしているところでございます。
ご質問の利用者が少ない結果についての見解といたしましては、新生児訪問において、助産師等がその専門的見地から丁寧に対応することにより、産婦の授乳や育児に関する疑問など、様々な不安が解決に至るケースが多いこと、新生児訪問後においても、産婦の体調不安や育児に関する悩み等が続く場合には、保健師、助産師もしくは精神保健福祉士が再度の訪問等による対応を行っていること、加えて、本年2月に開始した伴走型相談支援により産前・産後支援を行っていることが、産後ケア事業の利用に至らなかった要因の一つであると考えております。
今後は、更なる事業の周知と併せて、子育て支援サービスの利用に充てるための出産・子育て応援給付金を産後ケア事業に活用していただけるよう、本給付金の趣旨の周知に努めるとともに、本年度は、事業開始から二年目となりますことから、実態を把握するため、産後ケア事業の利用に関するアンケートを実施するほか、近隣市町の事業の動向を把握するなどにより、「居宅訪問型」、「短期入所型」、「通所型」の類型や利用に係る自己負担額を含めた事業のあり方について検証・研究を行ってまいります。
産後ケアの利用料について、日高市は1万円の費用に対し、自己負担額が30%で3千円となっています。
一方、厚労省の、訪問型産後ケアの自己負担額についての、令和2年度の調査を見ると、中核市以上または町村を除く「普通の」市で、自己負担額が3千円以上のところは5%未満となっています。
3千円は、ちょっと高すぎませんでしょうか。
前回の一般質問でもお聞きしたことにつながりますけれども、制度を始めて間もないので、先輩ママ達も使ったことがない、口コミもない、どういうものかよく分からない産後ケアというサービスに、産後のお金のない時期に3千円というのは、ハードルが高すぎるように思います。
「出産・子育て応援給付金」を産後ケアに活用してほしいというご答弁がありましたけれども、給付金は出産にかかる費用に消えてしまうのが実情です。
本年度も、予算約200万円を積んでおりますが、今年はまだ利用のない状態だと聞いています。この予算で、初回だけでも無料もしくはワンコイン程度で利用できるクーポンの配布などは検討できないでしょうか。
厚生労働省の定める母子保健医療対策総合支援事業実施要綱において、「産後ケア事業の実施に当たっては、原則、利用者から利用料を徴収すること。ただし、利用者の所得に十分配慮すること。」と定められておりますことから、本市におきましては、市民税課税世帯については、保険診療における自己負担割合と同等の3割負担とし、市民税非課税世帯は1割負担、生活保護世帯は無料としております。
近隣の入間市が本市と同じ、居宅訪問型の自己負担額を3千円としており、サービス総額1万円の3割負担であることから、こちらも参考としたものでございます。
さきほど答弁いたしましたとおり、自己負担額を含めた事業のあり方について検証・研究を行ってまいります。
先ほど、産後ケア事業の利用に関するアンケートをとられるとのご答弁でしたが、そのアンケートは、どういうタイミングで、誰を対象にとられる予定でしょうか。
産後ケア事業の利用に関するアンケートでございますが、タイミングといたしましては、4か月児健康診査の際を基本とし、これを既に過ぎている場合は、10か月児保育相談の際又は1歳6か月児健康診査の際に、これらの健診等の案内にアンケートを同封し、健診等の当日などに回収を行う形式で実施してまいりたいと考えております。
(2)「マタニティタクシー利用券」の利用枚数制限の見直しは
この制度は、妊娠届提出時に1枚500円の利用券10枚を受け取ることができ、1回のタクシー利用につき1枚使用できるというものです。
500円は初乗運賃相当額と説明されています。しかし、日高市には産院が少なく、市外の産院を利用する市民も多いので、自宅から産院までタクシーを利用すると、何千円もかかるケースが大半です。
本制度の利用実績を見ますと、令和4年度は、出生数220に対して、利用者数は40名、207枚です。利用者数は多いと言えると思いますが、この数字から想像すると、病院までの距離が近い人が使いやすく、遠い人が使いづらいという状況になっていることが懸念されます。
そこで、この制度の目的についてですが、平常より、タクシーしか通院手段のない家庭の移動サポート、という性質は否定しません。けれども、一般的に、マタニティータクシーとは、陣痛など、突然病院に行く必要が出たときに、家族などに運転が頼めない等の非常事態で利用されるものです。その助成という目的においては、1回1枚しか使えないという制限は、合理性に欠けるのではないでしょうか。
マタニティータクシーは、利用件数や利用人数を増やすことを目指す必要はなく、使わずに済めば幸いであるという位置づけで良いと考えます。
「もしものときに使える」ということで、妊婦に安心感を与えるものとして機能することが重要ではないでしょうか。
以上の理由から、利用枚数制限の見直しをするお考えがあるかをお伺いします。
市では、健康診査等のために妊婦が外出する際に、母体への負担が軽いタクシー利用を通じて、健やかな出産に寄与することを目的として、令和元年5月1日からマタニティタクシー利用料金助成事業を実施しているところでございます。
事業開始から4年間の利用者実績は、年間40人から75人で推移しており、年平均で50人ほどの方々にご利用いただいております。利用券をお渡ししている妊娠届出者の人数は年間250人ほどで、利用率の平均は20%程度で推移しております。
妊娠届出時の利用券配布の際には、健康診査等を受診する際の交通手段については、パートナー等近親者から支援が得られるとのお声をいただくことがあり、これは本市の地域性でもあると考えられます。
この地域性から、今後、利用率が大幅に上昇することは想定しづらい状況と考えますが、議員ご指摘のように、万が一に備えるものとして、より利用しやすい制度となるよう、枚数制限の見直しについて検討してまいりたいと存じます。
3.働く子育て世帯の支援について
第6次日高市総合計画のリーディングプロジェクトには、「働く子育て世帯の支援」の項に、2点、
・「就労等により児童の保育が難しい保護者へ保育施設を提供し、経済的支援を行う」こと、そして
・「子育て中の保護者の緊急的な保育需要や育児疲れを解消するためリフレッシュしたい時など、 安心して子どもを預けることができる環境を整備」すること
が掲げられています。
いずれも子育てしながら働くために必須の支援環境であり、日高が弱いと言われている部分であり、ここを重点に置かれたのは素晴らしいと思います。
同時に、保育所設備の老朽化、保育士不足、少子化、財源不足といった厳しい状況のなかで、市の力だけで簡単に進めていけるものでもありません。
民間事業者やボランティア団体と連携しながら、地域社会で子育てがなされていくような環境を整えていくことが、市の役割と考えます。
そこで、このリーディングプロジェクトにおける現状と課題認識をお伺いします。
(1)リーディングプロジェクトの進捗は
次に3点目の働く子育て世帯の支援についてのご質問にお答えいたします。はじめに第6次日高市総合計画のリーディングプロジェクトの進捗でございますが、現在市では公立保育所運営のほか、民間保育園や認定こども園、地域型保育事業所などへの支援、従来の保育の型にとらわれない多様な集団活動事業への利用支援、あるいは一時的保育の受け入れなど、多様な保育サービスから保護者や児童に適したサービスを選択することができるように事業展開し、待機児童数については平成27年度から0人を維持してきております。
今後も、待機児童0人を継続できるように努めてまいります。
(2)数字に表れない待機児童の存在は
日高市はH27より「待機児童ゼロ」をうたっています。
しかしながら保護者の方々からは、「園の空きがなく1年待ちになったけれど、1年後には入れるということから待機児童という扱いにはならなかった。」「1歳で入所を希望したけれども、完全離乳ができていなかったため、入所を断られた」といったお声が寄せられています。
このような、いわゆる保留児童、隠れ待機児童といった問題について、市の認識をお伺いします。
保育の申込を行う際に、特定の保育所のみを希望し、その保育所に受入れ枠がない場合に入所可能な保育所に通わせず、育児休業の延長を行い、希望する保育所の空きが出るまで待つ「保留」を選択される方もおられます。
このようなケースでは、入所可能な保育所をご案内することが可能な状況となりますことから、待機児童としては計上しておりません。
ほかに入れる園がある状況で、希望の園の空きを待つのは待機児童としてカウントされないとのご答弁でした。
そのことは理解いたしますが、どこの園にも入所できなかったという声は私に寄せられているだけでも少なくないんです。どういう状況なのでしょうか。
先ほどの待機児童数は毎年4月1日時点において0人であるとして公表しているものでございます。
過去に年度途中において待機児童が数名いる年もございましたが、令和3年度、令和4年度の年度内の待機児童を確認したところでも、それぞれの年で0人でございました。
(3)短時間働きたい保護者の預け先の確保は
保護者を対象に行った「日高子育て支援に関するアンケート」で、就学前児童を持つ保護者のうち、今仕事をしていなくて一年以内に就労したい保護者の、希望する就労時間について調査しています。最も回答が多かったのは、「週3日」が39.6%で、「1日あたりの就労時間は、3~5時間」と回答た人が72.9%でした。
子育てをしながら、フルタイムではなく短時間働きたいというニーズが非常に多いことが分かります。
しかしながら、日高市の定めでは、保育所に入所するには、月64時間以上就労する必要があり、いま申し上げた方々の希望就労時間では、入所ができません。
また、就労を希望する保護者が通常保育に入所させ毎日預けたいかというと、必ずしもそうではなく、子どもとの時間も大切にしながら働きたい、また、自営の場合は産休明けすぐには多くの仕事が入らないケースも多く、赤ちゃんを適時、必要なときに預けながら、仕事を立ち上げていく時間を確保したい、といったニーズも伺えます。
短時間の就労に合わせた預け先の確保は、子どもの愛着形成の観点でも、産後の女性の社会復帰のためにも、非常に重要なことと考えます。
このようなニーズの受け皿は、どのように確保していくことが考えられますでしょうか。
現在、市では保育の必要性の認定を受けることができない方を対象として1か月を超えない範囲において一時的保育を実施しております。これは保護者の出産などの緊急時のほか、育児疲れを解消する目的でのリフレッシュを事由に月2回まで、保育認定には至らない方の保護者の労働を事由に週3回まで利用することができます。
また、ファミリー・サポート・センターに利用申し込みすることで協力会員にお子様の一時的な預かりを有償でお願いすることもできます。
(4)一時保育の枠を拡充する考えは
日高市の一時保育は、現状、傷病や出産などの緊急時、不定期の就労、保護者のリフレッシュを目的にのみ、使用することができます。
不定期就労とは、農業の繁忙期といった季節的な就労をさし、1か月を越えない範囲とされているので、毎週数日といった就労は対象外とされており、前の質問で述べましたような短時間の就労ニーズの受け皿にはなっていません。
また、緊急時の預け先としても、週3日までなので、例えば1週間の入院などには対応できません。
リフレッシュ枠も、月に2回のみという制限があり、「それだけでは買い物や役所手続き等で終わってしまい、リフレッシュができない」という声もお聞きします。
また、0歳児を受け入れている保育所は1か所に限られ、定員1人という、かなり限定的な枠しかありません。「予約しようとしたら、次回の利用は1か月後、しかも保育所の指定する日付で2時間のみと言われた」という声もあります。
お母さん方から、日高に来て驚いたと、悲鳴の声をいただくことの多い、この限定的な一時保育の利用制限枠、これを、今後拡大していく考えはありますでしょうか。
現在、公立の3保育所と民間の日高ふじみだい認定こども園、日高どろんこ保育園において一時的保育を受け入れております。
拡充につきましては保育所の整備や保育士の増員などが必要となるため、今後、保育所への利用申し出の件数を集計するなど保護者のニーズを確認しながら検討してまいります。
短時間就労への預け先として、一時保育を週3回まで利用できるとのご答弁でしたが、申し上げたとおり、現状では不定期就労しか認められていません。
毎週、数時間×数日といった就労では、一時保育は利用できません。
それで産後に仕事が再開できずにいるというご相談が寄せられています。
一時保育がぱんぱんなのかというと、利用状況を見ると、埋まっているようには全然見えないんです。なのでとりあえず、利用条件を緩和できないでしょうか。
また、ファミサポもあるとのことでしたが、利用料が1時間800円と安くはなくて、たとえば3時間の仕事のために前後あわせて4時間依頼したとして、3,200円の利用料金を払っていては、仕事の報酬と保育のための経費が、合わないことが多いのが現実です。民間の園の一時保育も、利用料金がやはり公立より高くて、同様の状況です。
リスキリングなどもうたわれている状況もあるなかで、産後、少しずつ仕事を立ち上げたい保護者の預け先が日高市にはないというのは、かなり問題だと思うのですが、方法はありませんでしょうか。
一時的保育につきましては現在公立保育所3か所、民間の日高ふじみだい認定こども園及び日高どろんこ保育園において実施いたしております。
しかしながら、公立保育所においては、慣らし保育時や行事等で、通常保育の安全な実施に支障をきたすおそれがある場合はご利用を遠慮いただくことがございます。
そのような際には民間保育園や、ファミリーサポートのご利用をご検討していただきたいと考えております。
また、短時間の就労時等にも経済的負担が少ない一時的保育の充実につきましては、今般の「こども未来戦略方針」などの国の動向を注視し、保護者のニーズに合うように幅広く、保育の体制づくりの構築に努めてまいります。
(5)病児保育についての考えは
病児保育とは、子どもが病気や怪我で通常の保育が難しい場合に、医療機関と連携し、専用スペースで一時的に保育するものです。
現状、日高市内には対応施設がなく、先のアンケートでは、23%が病児保育を希望されていました。病児保育がないために、正規職員になるのを諦めている、という声もいただいています。
医療施設が充実しているのは日高市の強みかと思いますけれども、彼らとの連携を、検討されたことはあるのでしょうか。お考えを伺います。
現在は病後児保育のみ民間の日高どろんこ保育園で実施しております。病児保育の実施につきましては市内に設置がありませんが、設置には医療機関の協力が必要となりますので、実施の可否について、医療機関への働きかけを行うなど検討をしてまいります。
(6)これからの保育所の在り方は
本年1月、「公立保育所のあり方」に関するアンケート調査が実施されました。その目的は、今後、「公立保育所の役割を明らかにした上で、公立保育所の統廃合などを含めた定員調整について検討」するためとのことですが、この検討の論点はどのようなところにあるのでしょうか。
出生数の減少により、就学前児童数は年々減少しており、近年では、どの公立保育所も定員に満たない状態が続き、中には定員の半数にも満たない保育所も出てきています。また、施設や設備の老朽化も進行しているところでございます。
保育所ニーズの多様化や、今後さらに進展するであろう人口減少社会に対応するため、公立保育所と民間保育園等との役割を明確化するとともに、お互いに連携して、保育の質の確保に向けた取組を考えていく必要性がございます。
公立保育所の役割の一つとして、多様化している特別な配慮を必要とするケース等について、公的機関との連携を強化し、専門的な対応を行う必要があると考えております。
なお、検討に先立ち、昨年度には市内の保育所を利用している保護者及び保育従事者を対象としたアンケートを実施いたしました。
今後はこのアンケートの調査結果を分析し、これからの市全体の保育の総量と質の確保をするべく、保育所の在り方に関する基本方針を検討してまいります。
検討にあたっての市民参加の機会をお答えください。
(7)ファミリー・サポート・センター事業(ファミサポ)の利用支援は
保育所では拾いきれないニーズの受け皿としての、ファミサポの利用支援について、お考えを伺います。
令和4年度から、ひとり親世帯等が利用しやすいように運用の見直しを行いました。具体的には、ひとり親世帯や住民税非課税世帯などに該当する世帯の負担軽減を図るため、従来の補助制度を改め、通常の利用料金の半額で利用できるようにいたしました。この運用を開始して以降、利用者数は増加し、利用者からは大変利用しやすくなり、経済的にも大変助かっているという意見を伺っております。
先ほどご質問した、一時保育の枠については、施設の人員不足のため、一時保育の要員を通常保育にあててしまっているという実情があり、受け入れられていない現状があることを理解しました。
国の動向を見ながら体制づくりをしていくとのことで、それはぜひお願いしたいと思いますが、ただそれだと、今、仕事を始めたくても始められないお母さんは、国の動きを待つしかないのでしょうか。この物価高のなかで、仕事を始めることを市として助けられないのでしょうか。
それがファミサポだということであれば、一時的にでも、1人目から、せめて保育園の利用料と合わせて2人目から半額、などにはできないものでしょうか。
2.子ども施策について
1.子どもの居場所について
少子化や、地域のつながりの希薄化により、こどもが地域コミュニティの中で育つことが難しくなっている社会的背景を受け、居場所づくりの必要性が言わて久しくなりました。
先のアンケートで、未就学児の保護者、および学童保育の保護者ともに、最も満足度が低かったのは、「子どもの遊び場への支援」であり、43%が不満・やや不満と回答しています。
私自身の感覚としても、子育て世代からいただく声で最も多いのは「遊び場」の充実です。いま、日高市に住む子育て世代の要望で、最も大きいものと言っても過言ではないと感じています。
遊び場がないために、小さい子を抱えたお母さんが家の中で2人で過ごしている、また、行くところがない小学生が、家でゲームをしている、、、「のびのび子育て」できることをウリにしている日高のイメージと、その実態に、ギャップを感じられているところです。
雨の日に小学生でも遊びに行けた唯一の場所だった「ふれあい児童センター」がなくなり、高根児童室でさえも移転に伴い常設ではなくなってしまいした。児童施設のない市は、近隣では他にありません。
従って、学校に行けない・行きたくない子の居場所も、現状ではユリイカ一択です。ユリイカはとても大切な場所ですが、その目的は「学校生活に戻れるように支援・援助すること」、つまり、学校に行かせることを前提とした場であり、居場所機能としては限定的です。
令和3年12月に閣議決定された「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」には、その理念の項に、全てのこどもが、「安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びや、社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や外遊びの機会」に接することができる必要性がうたわれました。
この理念の実現に向けては、市が単独でやることはあまり効果的ではありません。民間団体との連携は欠かせないものであり、そのために国も、今年度「NPO等と連携したこどもの居場所づくり支援モデル事業」を開始しています。
日高市内にも、居場所づくり事業に関わるNPO等の団体が少なくありません。彼らとうまく連携しながら、多様な居場所づくりを進めていくことが必要です。
以上の観点から、3点伺います。
(1)子どもの遊び場を求める声に対する市の認識は
市内には日高総合公園をはじめとした都市公園が74箇所のほか、巾着田曼珠沙華公園、北平沢運動場、横手台グラウンド、高萩地区第3ちびっ子広場など、大小さまざまな公園、広場がございます。
また、総合福祉センター「高麗の郷」内に平成30年4月に子育て総合支援センター「ぬくぬく」を開設しました。さらに、日高ふじみだい認定こども園内に地域子育て支援センター「くるみ」が、日高どろんこ保育園内に同じく「ちきんえっぐ」が設置されております。これらの施設では対象が未就園児にはなりますが、民間とも連携しながら雨天でもご利用いただける施設となっております。
このように市内の各地区にはこどもの遊び場や施設がございますが、さらなる子どもの遊び場の整備等につきましては、子育世帯のニーズやこどもの意見を尊重して対応してまいりたいと考えております。
(2)常設の児童室設置の考えは
高根小学校内に設置しておりました高根児童室は、高根小学校の義務教育学校への改修に伴い、本年3月末で閉室とし、4月からは未就園児やその保護者の交流の場として高麗川南公民館にて週2回、「出張ひろばおひさま」を開設しております。現在、市内各公民館には、子どもたちが自由に利用できる図書コーナーがあるなど、雨の日においても放課後の居場所の一つとなっております。こうした現状を踏まえ、常設の児童室の設置につきましては慎重に検討していく必要があると考えております。
(3)学校に行けない・行きたくない子の居場所は
不登校児童生徒の増加が社会問題となる中、新型コロナウイルスの感染不安も重なり、本市でも学校に通えない子どもたちが増加傾向にありました。これを減少、解消するため、既存の学校適応指導教室と同様の機能を学校内に設置することとし、本年4月には高萩中学校内に新設し、運用を開始しています。
学校適応指導の機能を増やしているというご答弁でしたが、適応指導教室もとても大事ですが、同時に、学校に行けない・行きたくない子の気持ちをまるごと受け止められるような居場所を、民間団体の活動を支援するなどして、市内に充実させていくことは、考えられますでしょうか。
学校に関連する施設以外の子どもの居場所として、他市の先進事例では民間団体と連携しながら運営しているところがあると承知しております。これらの先進的な取組みや近隣市の状況も鑑みながら、調査・研究してまいりたいと考えております。
2.化学物質過敏症への配慮について
香害、すなわち人口香料による健康被害については、これまでも日高市では、前向きな対応がなされています。人口の香りを不快に感じる方、中でも、香料に触れると体調を崩してしまう「化学物質過敏症」の方が増えているなかで、日高はどこに行っても啓発ポスターが貼られていると、市内外の方が喜んでおられるのをSNS等でも目にします。
しかしながら香害問題で難しいのは、身にまとっている香りは、本人は鼻が馴れてしまうために、香りをつけていないつもりでも、無自覚に、シャンプーなどの香り製品を使ってしまっていることが多々ある点です。
製品に、人口香料が入っているかの表示を確認する習慣など、継続的かつ丁寧な周知が必要です。そこで2点お伺いします。
(1)子ども関連施設での対応状況は
今でも、職員の衣類やシャンプーの香りで体調を崩している子どもや保護者の声が寄せられています。保育者、教職員、市役所職員などへの周知徹底はしていかれますでしょうか。
(2)保護者や市民への啓発は
洗濯用洗剤や柔軟仕上げ剤などの強い香りが原因で、せきや頭痛、吐き気などの症状があり困っている人がいることに対して周囲に対する配慮を求める内容の埼玉県作成のポスターを市内公共施設に掲示し、市民へ広く啓発、周知しているところでございます。
公立保育所につきましては最初の掲示から時間も経過していることから、新しいポスターを改めて掲示いたしました。今後につきましては、引き続き各保育所において個別の対応に努めるとともに、香りのある商品の主たる使用者である保護者に向けて、各施設が発行する保護者向けのたよりなどを通じ、香りのエチケットとして周囲へ配慮いただくようお願いしてまいりたいと考えております。
3.子どもの権利を守る体制づくりについて
本日伺って来たような子育て支援、子ども施策を推進し、子どもの権利を保障していくための、体制づくりについて伺います。
(1)子どもの意見・相談の電話窓口は
子ども政策を検討する大前提として、子どもの意見表明権があります。行政への意見やアイディア、困りごとを、相談をできるホットライン、総合窓口は、現在ありますでしょうか。
行政への意見やアイデアを持った子どもの意見を表明する場といたしましては、毎年、子ども議会を実施しております。各小学校からの代表として、小学6年生12人から、子どもの視点からの質問や意見をいただき、行政運営に反映させていただいております。
また、困っている子どもが相談できるホットライン、総合窓口としては、子どもたちにとりまして最も身近な学校のほか、家庭児童相談室でも相談を受け付けております。家庭児童相談員は家庭訪問等の機会を通じて、直接子どもに何か困ったことがあったら電話できることを伝えるなど、子どもが相談しやすいように配慮に努めているところでございます。
(2)子ども家庭センター設置に向けた検討状況は。
子ども政策を推進していくためには、それぞれの担当課が所管事業の範囲内で、改善をしていく視点だけではなく、部署横断的に「こどもの視点・⼦育て当事者の視点に⽴った政策の企画⽴案・総合調整」をする部署またはポストが必要です。
子ども家庭センターの設置を含め、見解を伺います。
改正児童福祉法により、児童福祉分野における子ども家庭総合支援拠点と母子保健分野における子育て世代包括支援センターの意義や機能は維持した上で組織を見直し、全ての妊産婦、子育て世帯、子どもへ一体的に相談支援を行う機能を有する機関として、令和6年4月から、こども家庭センターの設置に努めるよう示されております。本市におきましては、児童福祉分野は福祉子ども部子育て応援課、母子保健分野は健康推進部保健相談センターとなっておりますので、来年4月に向けて関係機関で調整を図り、協議している状況でございます。いずれにしましても、子どもに関係する機関がこれまで以上に連携を図り、子どもの最善の利益のために尽力していくことが求められておりますことから、その趣旨を踏まえた組織体制となるように努めていきたいと考えております。
子どもが意見・相談する電話窓口は、家庭児童相談室であり、子どもが利用しやすいように配慮に努めているとのご答弁がありました。その配慮について、ご説明をお願いします。
子どもから家庭児童相談室に直接、相談が入ることはほとんどありません。子どもは自分の悩みや困っていることを相談する際、自分が知っている人、信頼を置いている人に対して本音で話をしてくれるようになります。そのため、家庭児童相談員が定期的に学校や学童保育室などに訪問して、直接子どもと関わり、子どもとの面談を重ねるなど、距離を縮める関係づくりをすることにより、親にも言えないような悩みなどを引き出すこともございます。このように、子どもが緊張せず、自分の気持ちを打ち明けることができる環境を作り、支援に繋げていくことが大事であると考えております。
(3)子どもの権利条例の意義と制定に向けた考えは
子育て世代に選ばれるまちづくりを進めるうえで、まだまだ「子どもの権利」という概念についての認識が、行政や市民の間でも十分深まっていないことが、一つのハードルであると考えます。
まずは、子どもの権利について、その意味合いを行政と市民が理解を深めていく機会として、子どもの権利条例の制定についての議論を、少しずつでも始められると良いと考えますがいかがでしょうか。
本年4月にこども基本法の施行に伴い、各自治体にこども計画の策定が努力義務として求められています。こども計画策定に当たりましては、国が定めるこども大綱や県が定めるこども計画を勘案することとされております。現時点で国からの内容が示されていないため、内容を確認することはできませんが、その内容を踏まえたこども計画の策定とあわせて、子どもの権利条例の意義についても研究してまいりたいと考えております。