1.学童保育のあり方について
現在日高市の学童保育の運営は、1か所は日高どろんこ学童保育室に、その他12か所の学童保育室は、NPO法人日高市学童保育の会(以下、保育の会)に業務委託されています。
保育の会は、指導員や保護者を会員としたNPO法人で、毎月、市と打ち合わせの場を持ち運営が協議されており、市と運営者がこんなにも丁寧に話合いながら進められているケースは全国を探しても珍しいようで、目指すべきモデルケースとなっているという話も聞き、市民として誇らしく感じていす。保護者の皆さんと話をしていても、特に指導員の方々への評価が高く、心を尽くして子ども達と接していただいている印象です。
学童は、放課後の時間、仕事等で保護者が留守にしている家庭の子ども達が、生活を共にする場です。子ども達が自由に活動する中で、日々さまざまな出来事が起こります。それでも子ども達が安定して、自ら進んで、明日も学童に行こう、行きたい!という気持ちでいられる環境をつくることは、簡単なことではありませんが、保護者が安心して仕事を続けるために、とても重要な支えとなっています。
そのよりどころは、指導員と子どもの関わりだと言われています。
これからも、子ども達が、指導員の方々と安定した信頼関係を築き、学童を第二の家庭として、安心して毎日の生活を送れる場であり続けることを願い、以下、質問いたします。
(1)学童の目的および質についての考えは。
(2)育休中も学童を利用できるようにする考えは。
現在、日高市では、下の子が生まれて保護者が育休に入ると、学童に通っている上の子は、育休が終わるまで学童を退所するという制度になっています。
しかし、冒頭申し上げたような学童の性質を考えると、子ども達にとっての安定性、継続性がとても大切です。保護者が育休で家にいるからといって、一時的に退所させてしまうのではなく、希望する子は継続して通えるような体制が望ましいと考えます。
また、母親の産後ケアの観点でも、上の子を見ながらの赤ちゃんのお世話は、とても大変なケースも多く、特に発達しょう害やグレーゾーンの子の保護者からは、切実な声もいただいています。
(3)指定管理者制度の導入についての見解は。
近年、経費削減や運営の効率化を目的に、学童に指定管理者制度を導入しているケースが増えています。民間の学童保育専門団体である「全国学童保育連絡協議会」の調べによると、その数は、2022年で、全国209市町村、クラスにして14.9%にのぼっています。
指定管理者制度は、株式会社等も受託できる制度で、大手企業も参入し実績を増やしている一方、必ずしも良い結果に繋がらず、業務委託に戻すようなケースも出てきています。
指定管理者制度は、本来、あくまで公共施設の管理業務を効率的に代行させる仕組みであり、保育のように施設管理が主たる業務でない福祉サービスには馴染まないものと考えます。
実際、学童保育に指定管理者制度を導入することは、法的に問題があるとして、自治体によっては、学童の施設管理について指定管理者制度を導入しつつも、その中身の保育業務は業務委託としているところもあります。また、2010年には、総務省より、各自治体に対し、指定管理者制度の適切な運用に努めるよう通知も出されています。
2. 運営・設備について
(1)施設の統合を検討している学童は?
(2)支援単位(クラス数)の考え方は。
本年9月の2番議員の一般質問へのご答弁では、1クラスあたりの児童数について、国の「放課後児童クラブガイドライン」の「70人を超過しない」という基準について言及されていました。
しかし、日高市は、平成26年に「日高市子ども・子育て支援に係る事業及び施設に関する基準を定める条例」を制定しています。ここでは「支援単位を構成する児童数はおおむね40人以下」と定められています。市として条例を定めている以上、この条例を基準としていく必要があるのではないでしょうか。
なお本条例が議決された定例会での委員会質疑では、本条例は「あくまでも最低基準」を定めたものであるとご答弁されており、さらに、「国の基準は40名に対し指導員の数が2名ということで、例えば50名など、40人を大きく超える場合は、規模が2つというように考えて、最低でも職員が4名という形で考えている。」とご答弁されています。
指導員の配置につきましては、この支援単位に基づいて行われますので、40人を大きく上回るに場合には児童数に見合った指導員の配置を行います。
正規雇用の指導員を適正人数配置できるよう、委託料が確保されるべきと考えますがいかがでしょうか。
(3)一部屋あたりの適正な児童数についての考えは。
現状の高麗学童や、来年からの高根学童の状況を見ると、1部屋に50人以上の児童が入る予定になっています。
学童は、子ども1人ひとりが主体的に生活をしているので、子ども達が、部屋の内外を縦横無尽に動き回っているのが日常です。
児童数に応じて定められた人数の指導員を配置しても、空間を分けず、1部屋に入る子どもの数が40名を大きく超えてくると、個々の児童の状況の把握や、入退室の把握が困難となるという心配の声を、指導員の方々からいただいています。
先に述べました市の条例で基準として参照している「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」第十条第5項では、「放課後児童支援員及び補助員は、支援の単位ごとに専ら当該支援の提供に当たる者でなければならない。」とあります。
また一般的な感覚としても、大部屋に50人を超える数の子どもがいるという状況が、生活空間として健全と言えるかというと、いかがでしょうか。
子ども達にとっては、その子の資質や、またそのときどきの状況によって、アクティブに動きたい子もいれば、静かな時間を過ごしたい子もいます。
そういう違いを、空間で仕切ってあげると、子ども達の様子が落ち着いてくると一般に言われますけれども、現状、大部屋の喧騒のなかで、大声を出さないと会話がままならず、怒鳴るように会話している子ども達の様子を実際に見てみると、空間づくりの重要性を改めて感じます。
(4)男女別トイレの必要性は。
昔と比べて近年、子ども達の身体の発達が早熟化してきていると言われています。
この問題については、どのようにお考えでしょうか。
(5)病児を隔離、静養できる個室の必要性について。
先に述べました「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」の第9条では、「遊び及び生活の場としての機能並びに静養するための機能を備えた区画を設ける」と書かれています。
この記述に対して、条例制定時の委員会質疑では、「現時点でも十分静養できているとも言え、特に大規模な改修等を行う予定はない」とご答弁されています。現時点でも十分静養できているといっても、教室やプレハブ、キッチン等の片隅で、毛布にくるまって寝ている状況です。
例えば、学校施設の中にある学童については、放課後に児童のいない教室なども使えるかと思います。同じ学校の生徒のことですので、時間によって学校と学童で管理を住み分けるなど、学校側との連携というのは検討されているのでしょうか。
3.高根学区の学童施設の統合に際して
令和6年度4月より、「高根学童保育室」と「高根ラッキー学童保育室」が統合されることになりました。
この統合のあたっての経緯をお話します。
本年8月、統合について何も知らない保護者達によって、「日高市学童保育連絡協議会」として、適正な児童数での保育を求め、合併はしないでほしいという旨の陳情が市に提出されました。
一方で、市の方では7月末に、児童福祉審議会に統合について報告され、8月末に保護者へ統合が決定したとの通知が発送されました。
保護者からすると、陳情直後、しかも統合まであと半年という時期の迫ったタイミングで、前触れなく紙一枚で決定事項として通知されたことは、唐突であり、にわかに信じがたいという感覚になられたということです。
市としては説明会はしないということでしたので、保護者会として市に複数回にわたり説明の場を求めたところ、とうとう11月10日、保護者会に市職員が出むくというかたちで開催されました。
私もこの会に出席させていただきましたが、参加された保護者の総意としては、
・「統合は仕方ないと理解しているけれども、たった半年間で統合による問題点を解決し、こどもの気持ちを整理していくことの難しさを、市には理解してほしい。」
・「統合に向けて検討を始めた段階で共有してもらえれば、それに向けて対策を相談したり、子どもに心の準備をさせたりすることもできた。」
・「市が一方的にトップダウンで決定するのではなくて、対話をしながら進めてほしかった。」
というものでした。
つまり、統合そのものに反対なのではなく、財政の効率化のためには統合は仕方がないというのははじめから納得されているんです。とはいえ、陳情を出した矢先に、突然の紙一枚での通達、そして説明はない、統合は半年後に迫っている、という状況から、
保護者としては、学童という子ども達にとってとても大切な生活の場が、どのように支えられ成り立っているか、ということを、市はどこまで理解をしているのかと、疑問を持たざるを得なかったのだと感じています。
学童は、指導員や保護者の協力で成り立っているという特性を踏まえて、市、保育の会、保護者がしかるべきコミュニケーションや相談の場をもちながら進めていくことが大切だと考えます。
今回の件は、高根学童のみならず、市内の学童の運営や、そもそも市と市民のコミュニケーションのあり方について、考えさせられる出来事だったと感じておりまして、以下質問をいたします。
(1)統合の影響をどのように把握・認識しているか。
(2)統合に向けた支援や配慮は。
(3)関係者とのコミュニケーションについての考えは。