一般質問全文

一般質問全文:大規模太陽光発電施設建設計画について<令和元年第3回定例会 06月20日>

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2024年2月に日高市市議会議員を辞職。4月の市長選挙に立候補する予定です。これからも日高市のためにより活発に発信をして市民の皆様との対話を続けて参ります。

*正確な発言は、日高市HP掲載の会議録を参照ください


2番、松尾万葉香です。通告書に従い、一般質問いたします。

1番、高麗本郷のメガソーラーパネル建設計画について質問します。
この計画は、日和田山と谷一つを隔てた山地の南斜面を15haもの規模で皆伐し、ソーラーパネルを設置するというものです。
事業者からは住民向け説明会が行われ、本計画の概要説明を受けた住民は、その深刻なリスクを知り、様々な不安の声をあげています。メディアでも多数、大きく取り上げられ、昨今のメガソーラー開発にまつわる全国的問題の象徴的なケースとしても、世間の注目が集まっています。

そこで、1番、本計画に関する市の認識をお聞きします。

質問(1)、本計画のリスクについてです。

まず第一のリスクとしては、土砂災害です。
本計画地は、市のハザードマップによると、土砂崩れが起きやすい斜面であり、その森林を伐採することは、危険性をさらに高めます。専門家の調べでも、崩れやすい砂岩の層を含む地質であり、さらに、土石流 危険渓流 上流の集水域を含むため、危険性が極めて高いと指摘されています。

第二に、水質汚染です。
このような地質の土地を伐採してしまうと、雨の際、土砂を含んだ濁流が高麗川に流れ込みます。市も、価値ある自然資産としてうたう 清流高麗川、その水質悪化、さらに、飲み水への影響も深刻です。

第三に、生態系への影響です。
計画地には、県から絶滅危惧種として指定されている、アカハライモリ等の希少な動植物の存在が確認されています。住民による調査結果は、市長に手紙で報告もされていますが、返答の無い状況です。

その他、「遠足の聖地」として整備対象となっている高麗郷地区の景観や環境資源の喪失など、実に様々なリスクを抱えています。

これらのリスクに対し、市はどのように把握、認識していますでしょうか。

質問(2)、このようなリスクを前に、これまで多くの市民が立ち上がり、署名運動や行政への働きかけなど、活発な反対運動が行われています。事業者へも多くの質問や要望を提出していますが、回答期限を過ぎても返答のない状況です。また、予定地直下の土地では、スンガマ再生プロジェクトと称し、棚田を中心とした 昔の里山を再現し、市民の憩いの場にしようという活動も進んでいます。

このような活動に込められた市民の想い、そして事業者の対応状況について、市はどのように把握、認識していますでしょうか。

続きまして、2番、市としての 今後の対応についてお聞きします。

質問(1)、今後、事業者による開発許可申請の提出が予想されますが、工事の許可が降りるまでの手続きプロセスと、想定される所要期間を、本計画に即してお聞かせください。

質問(2)、条例の制定についてです。

本年3月議会の一般質問では、本計画は第5次日高市総合計画の理念に反し、さらに将来土地利用構想における森林保全地域にあたるため、開発に適さない場所であると指摘がありました。これに対し、現状の法令には本計画を規制するものはなく、また市として出来ることはガイドラインに基づいた、あくまで指導の範疇にとどまるとの答弁がありました。さらに市長からは、「ガイドラインが有効に機能しないということであれば、条例設置を考えなければいけない」とのご発言がありました。

日高市をはじめ各市町村のガイドラインは、資源エネルギー庁策定の「事業計画策定ガイドライン」に基づき策定された、事業計画を円滑に進めるための指針であり、事業の抑制を目的に作られたものではありません。結果として、これまで全国でソーラーパネル設置のための乱開発の問題があとを絶たず、各自治体では独自の条例をつくることで対応しているという背景からすると、本ガイドラインが機能しないということは、既に自明です。

本計画が進むなか、さらに、市内では今もさらなるソーラーパネル設置の営業が盛んにおこなわれているという現状も踏まえると、条例制定は急を要します。全国でも神戸市の条例はその実効性を高く評価されていますが、かなりスピーディーに制定されたと聞いています。

条例制定に向け、条例の公布、施行の目標時期を定め、取組む必要があるかと思います。現在の進捗および今後の予定をお聞きします。

質問(3)、前回の議会におけるご答弁で、市長は、「メガソーラーは悪ではないが、設置するには適所がある。本来環境を守るはずの再生可能エネルギーである太陽光発電施設が、自然環境や災害の発生に大きな影響を与えているという皮肉な現実があり、国は立地規制の強化を真剣に考えるべき」とご発言されました。まさに、メガソーラーにまつわる全体的な問題が簡潔明瞭に表現された、素晴らしいご見解であると思います。

しかし、このような状況において、現在の法規制では本計画は、県による環境アセスメントの対象にはなりません。事業者からひとたび県に申請が提出されれば、冒頭で述べたようなリスクについては十分検証されないまま判断され、許可される可能性も十分にあるという、切迫した状況です。

条例設置には期間を要します。つまり、他の手段も考えざるをえない状況であると考えますが、市として今後どのような対応が考えられますでしょうか。お答えください。
大規模太陽光発電施設建設計画についての1.建設計画への認識につきまして順次お答えいたします。

はじめに(1)本計画の土砂災害、高麗川の水質悪化及び希少生物の生育環境破壊へのリスクについてでございますが、1ヘクタール超える森林開発を行う場合には森林法により一定の基準が定められております。
この基準に基づく審査及び許可つきましては埼玉県が権限を有しておりますが、議員ご指摘のリスクについての調査及び対策につきましても、この基準の中で厳密な審査が行われることとなります。
市といたしましては、ガイドラインに基づきまして、森林法の許可基準に沿った適切な計画を行うよう事業者に求めてまいります。

次に、(2)本計画への市民の懸念及び事業者の対応状況についてでございますが、環境への負担軽減を実現しつつ長期にわたり安定的に発電を継続して行くためには、太陽光発電による再生可能エネルギーは促進すべきものと考えておりますが、一方では、安全性の確保や防災・環境上の懸念等をめぐり適正立地、適正規模の観点から地域住民との関係が悪化する事例等が顕在化されておりまして、本計画に対しましても同様の事案が発生していることは認識しております。
本市におけるガイドラインでは、安全や周辺環境への配慮のほか近隣住民等との協調を保つことに関しましては、施設を設置する者の責任と位置付けておりますので、事業者に対しまして適切な対応を求めてまいります。

続きまして、2.今後の対応につきまして順次お答えいたします。

はじめに(1)計画の申請許可に関するプロセスと所要時間についてでござ
いますが、埼玉県の林地開発許可制度によりますと、事前相談、申請、審査及び調査を経ましての許可となりますが、所要時間につきましては、申請の内容により異なりまして、一概には申し上げられないとのことでございます。
また、農地法に基づきます農地転用の許可申請でございますが、毎月10日までを期限に市の窓口において受付を行いまして、市農業委員会の意見を付し埼玉県に進達いたします。
その後、埼玉県の審査を経まして翌月15日を目安に市の窓口を経由しまして許可書が交付されますが、他法令の許認可が関係する場合におきましては、調整期間が設けられる場合がございますので、個別案件により所要期間は異なるものでございます。
市の手続きに関しましては、ガイドラインに基づく届出のほか、道路、水路等の管理者の同意がございますが、こちらにつきましても申請の内容により協議期間等が異なることから所要期間につきましては一概には申し上げられないものでございます。

次に、(2)条例制定に向けた進捗と、今後の見通しについてでございますが、
現在、国、県の関係法令の整備状況を注視しつつ、先例自治体等の情報収集を行っているところでございます。今後の見通しにつきましては未定でございますが、引き続き、慎重な検証を行ってまいります。

次に、(3)条例制定以外にとり得る市の対応についてでございますが、ガイドラインに基づく届出のほか、道路、水路の管理者の同意等、市の手続きにおきまして厳密な審査を行うとともに、埼玉県に対する手続の進捗状況等の情報共有を密に行いまして、適切に「届出」及びその「措置」が取られるよう調整を図ってまいります。

(再質問1)
質問2-(2)条例制定について再質問します。

前回の議会から3か月たって未だなお情報収集の段階であり、見通しも未定とのことですが、これだけ市民が危機感を持ち、また、住民からの要望書を受けて市長も「開発にふさわしくない場所であり、条例制定を考えざるを得ない」と発言されている状況で、やはり条例制定は急務ではないでしょうか。
情報収集するにも期限を見据えて行うべきかと思います。

もちろん、制定時期をコミットするのは難しいことは理解します。
あくまで予定、目標で結構です。そういったスケジュールはいつ頃決まるのでしょうか。
お答えいたします。
条例制定に向けたスケジュールについてでございますが、現時点におきましては、先例自治体等の情報収集及び検証を行っておりまして、早急に結論を出したいと考えておりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

住民に説明されている売電開始時期は、2020年3月とされています。
「早急に」という言葉は、事業者の計画や進捗を念頭に入れたものでしょうか。
お答えいたします。現時点で事業者の計画は示されておりませんので、そこを基準にするものではございません。
現在市が進めている先例自治体等の情報収集及び検証につきまして、出来るだけ早く結論に結び付けたい考えでございます。

質問2-(3)条例制定以外の取り得る対策について再質問します。

あくまで市としては、リスク評価は森林法に委ねる、市ができることは届出に対する適正措置にとどまるというご回答ですが、それでは今回の計画に対し、リスクを十分に評価し、抑止力を発揮することは難しいということは、既にこれまでの議論で言われてきたことです。

本計画は、市民全体にとって極めて公益性の高い問題であり、さらには住民の命に係わる問題です。

それに対して、市として、他に手だてがない、何もしない、ということは、俄かに信じがたいというのが率直なところですが、なにか出来ることはないのでしょうか。

例えば、森林保全について日高市における過去の対策を調べましたところ、「緑の基金」を用い、日和田山の一部、合計36haもの土地を市が買い取った事例がありました。こういった基金や、ふるさと納税、森林環境譲与税といった予算を投入することは、この問題の大きさに対しては十分見合うものであり、市民の理解も得られると考えます。可能性をお聞かせください。
お答えいたします。
届出に対する適正措置以外に市ができることでございますが、先ほど申しあげましたとおり、まずは、市の手続きにおける厳密な審査及び埼玉県との連携についてしっかりと対応してまいりたいと考えております。

また、議員ご提案の事項及びその可能性につきましては、今後の課題とさせていただきたいと思います。

是非ご検討ください。もう一つお聞きします。

先日、あるソーラー発電システム事業者が豪雨による損失等が原因で破産したというニュースがありました。これまで市は事業者に対して、ガイドラインに基づいた指導をされてきているとのことですが、事業者の定款記載の株主構成や、その後の株主移動履歴、複数カ年の決算書などは確認されていますでしょうか。

このような情報から、企業の信頼性、健全性、資金的な体力を確認することは、事業者とやりとりするにあたり、市としてまずするべきことかと思いますが、いかがでしょうか。
お答えいたします。
事業者の実態につきましては森林法に基づき林地開発許可申請時に審査されることとなっておりますので、埼玉県との情報共有に努めてまいります。

株主履歴および決算履歴は、林地開発許可にて審査され、その情報を市も確認されることと理解しました。

さらに、災害時を見据えた対応についてお聞きします。

この開発規模からすると、土砂崩れなどが起きると、多くの人家や、道路など公的な部分も損害を受けることが予想されますが、その復旧や損害賠償において、事業者だけの責任とするのは非現実的かと思います。

事前に事業者に供託を求めるなど、責任ある市の対応としてするべきことかと思いますが、いかがでしょうか。
お答えいたします。
災害へ備えた対応でございますが、資源エネルギー庁の事業計画策定ガイドラインでは、全て事業者の責任において対処することとなっておりますので、原則、事業者又は土地所有者の責任において対処すべきものと考えておりますが、議員ご提案の方法も含め、その他の方法につきましては、今後、研究してまいります。

では、市長のお考えについてお聞きします。

同事業者が過去に和歌山市でメガソーラー建設を計画した際、やはり住民の反対が大きく、計画中止になった事例があります*1。このとき、和歌山市長も反対の意を述べ、県に働きかけていったと聞いています。

市長は、市の最高責任者として、また政治家として、災害から市民の命を守るため、そして、「遠足の聖地」日高市最大の資源である緑と清流、高麗郷の自然を保全するために、市内はもちろん、県や国に働きかけていくことが強く期待されています。お考えをお聞かせください。
お答えいたします。
県や国に対する働き掛けでございますが、平成31年度第1回定例会にて申し上げましたとおり、この問題に関しましては、国の法律で規制していただくことが重要だと考えておりますので、埼玉県と連携を密にしまして、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

*1本事業が正式に建設中止になったのは、同年8月になってからでした。不正確な表現になりましたこと、お詫びいたします。

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記事を書いた人

日高市議会議員無所属松尾 まよか
大好きなまち日高に永く住み、豊かな自然のなかで子育てをしていきたい。

私は、この日高が世界一好きです。2015年、東京都心から日高市に移住。都内では体験できなかった日常を楽しんでいます。

これまで国内外諸国に滞在してきましたが、日高ほど暮らしやすい土地はありません。都心へのアクセス、美しい里山と清流、それを大切にしていきている人たちとの温かいつながり・・・。

ここで、いつまでも心地よく安心して子育てをしていきたい、そう願っています。

本当の「豊かさ」とは何か?

日高でかたちにしていきたいと思います。

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