*正確な発言は、日高市HP掲載の会議録を参照ください
2番松尾万葉香です。通告書に従い、一般質問いたします。
日高市の総合計画と移住促進施策についてです。
子育て世代を中心とした移住促進は、私の政策の柱になるものです。
日高市に多くの若い世代が移住してくる、これによる少子高齢化対策、市民税増収による財政対策はもちろんですけれども、日高を移住したいと思うまちにしていくことは、すなわち、いま住んでいる方々が住んでて心地よい、他市に誇れるようなまちをつくることであると考えています。
全国的な少子高齢化が進むなか、移住先として人気を博す市町村は、特色を出した一貫性のあるまちづくりを行い、それに魅力を感じる層を惹きつけています。
私は、4年前に東京都心から移住してきました。埼玉県に限らず、多くの市町村を比較して、日高市を選んで来ました。
そのような若者は、日高に既にたくさんいます。
日高の魅力を活かし、日高ならではの特色あるまちづくりを思い切って進めていくことができれば、全国的に、さらには世界的に、移住したいまちとして名を馳せるだけの資産が、日高には十分にあると確信しています。
問題は、その、他にはない、日高ならではの特色を、何に定め、集中して育てていくか、これを決めることです。限られた予算のなか、まちの特色をつくっていくためには、これを市として明確に打ち出し、行政と市民が一体になり、まちづくりを推進していく必要があります。
こういった、組織のビジョン策定やその実現に向けた戦略推進、これは私の前職の専門のひとつです。
また中でも、移住促進による人口対策は、まさに都心からの移住組としての私が、もっとも市政に貢献できる領域であると考え、今回、このテーマで質問をいたします。
大きな1番、第6次日高市総合計画について
総合計画とは、自治体の行政における最上位の計画です。市が行うすべての施策、優先順位づけは、総合計画をふまえたものになる、というものです。一般企業でいうと、中長期の経営計画のようなものです。
1969年、地方自治法の改正によって、策定が義務づけられたことにより、全国の地方自治体でつくられるようになりました。日高市も約50年、総合計画に則った行政を続けています。10年ごとに更新されてきており、現行のもので、第5次総合計画となっています。
ただ、そのような法的義務によってつくられてきたという背景もあり、全国的に、この総合計画の形骸化が指摘されています。
大変な予算と時間をかけてつくるわりに、総花的で不明瞭な表現がなされ、指針になりえていない、また首長の任期とも合っていないため、行政上も軽視されるといった傾向がある様です。
日高市の総合計画も、同様の状況があったのではないでしょうか。
そこへ2011年、地方自治法の改正により、総合計画策定は義務ではなくなりました。
これにより、総合計画の策定は、あくまで自治体の自主的な取り組みに変わったわけです。
これを機に全国では、これまでのような形式的なものから、市独自の狙いをもった、実用的な総合計画を作ろうとする動きが出てきています。
日高市では、現行の第5次総合計画が来年で期限を迎えます。
そして今、次の第6次総合計画策定に向け、検討が始まっている状況です。
日高の次の10年、つまり2021年~2030年を示す大切な計画です。どのような計画になるのか、市民の期待も集まっているところであります。
さて、日本社会全体の状況をみると、少子高齢化の進展など、地方市町村の縮退は今後も進むと言われています。
民間有識者の集まりであります「日本創生会議」は、地方の子育て世代の女性人口の激減により、「2040年には地方自治体の半数が消滅の危機に瀕する」という予測を発表し、全国を震撼させました。
この予測では日高市も、この先20年で、子育て世代の女性がほぼ半減すると試算されています。
このような中、日高市の今後の10年を決定する総合計画は、非常に重要なことは言うまでもありません。
対策は、早ければ早いほど効果があります。
いつまでも今の平和な日高市が続くというのは幻想にすぎないという認識のもと、手遅れにならないよう待ったなしの危機感を持って、第6次総合計画を練り上げていく必要があると考えます。
それにあたっては、日高の自然環境、歴史文化などといった今既にある資産を守り有効活用することはもちろん必要ではありますが、これまで通りの施策の延長線上で努力していくだけでは、このような社会全体の動きには、抗い得ないのではないでしょうか。
日高市の持つさまざまな資産を洗い出し、これらを明確な狙いを持って結び付けていき、他にはない日高市ならではの特徴を育て上げていく必要があると考えます。
限られた財政のなか、それは、選択と集中を伴うことです。
そして、実現に向けては市民との協働が欠かせません。
そのためには、行政と市民の共通認識としてのビジョン、すなわち、日高市が何をもって他とは違う市になっていくか、という力強い指針が必要です。
それはまさに、第6次総合計画に表現されるべきものではないでしょうか。
そうあって初めて、策定が義務ではなくなった総合計画を、コストをかけてでもつくる意義があると言えるのではないでしょうか。
そこで、(1)番、第6次総合計画策定にあたっての基本的な考え方と構成についてお聞きします。
現状の第5次総合計画を見るに、第6次策定にあたっては、主に以下3つの観点で改善が必須と考えます。
1点目、ビジョンの不在。2点目、一貫性の欠如。3点目、冗長で分かりにくい。以下、詳しく申し上げます。
1点目、日高市ならではのビジョンがない、という点です。
現状の総合計画をみると、「基本構想」や、「基本計画」の「施策目標」に、日高市ならではの記述はありません。残念ながら、日高市を他市に置き換えても通用するような内容と言えなくもない記載になっています。
第6次の策定にあたっては、危機感をもった現状認識のもと、日高市がなにを強みとするまちになっていくのか、生き残りをかけた、独自のビジョンが示されるべきではないでしょうか。
2点目は、ビジョンと施策に、一貫性がない点です。
本来であれば、ビジョンとして、目指すべき方向性と目標があって、それを達成するための戦略があって、その具体としての施策へと、一貫性を持ってブレイクダウンされているべきです。
ところが、第5次総合計画では、ビジョンと基本計画の間にあるべき戦略は一切示されていません。
各施策の目標にも特徴はありません。
何に重点を置かれているのか、分かりません。
人口戦略については、「まちひとしごと創生総合戦略」(以下、略して創生総合戦略と呼びます)という別冊子がありますが、総合計画とは別立てに作成されたものであり、後付けで対応させた様なつくりになってしまっています。
第6次総合計画では、創生総合戦略と1冊に統合する予定と伺っていますが、そこでは、ビジョン~戦略~施策目標やKPIと、説得力のあるつながりを示していくべきではないでしょうか。
3点目は、「基本構想」がそもそも冗長で分かりにくいことです。
冒頭に「都市宣言」が2つあり、次に「まちづくりの基本理念」が3つ、それから「将来都市像」が1つ、そして、「まちづくりの基本目標」が5つと続きます。
また、前段には「地域課題」や「まちづくりの重点方向」などという項目もあり、こういった、似て非なる言葉たちが、関連性なく、ただ羅列されています。
これでは、ポイントが分かりませんし、どうとでも解釈される懸念があります。
もっと、誰が見ても、日高市の方向性が分かるよう、簡潔明瞭な構成にすべきではないでしょうか。
以上3点を改善しない限り、新しい総合計画は、本来果たすべき役割、すなわち市の方向付け、「選択と集中」の説得的根拠の提示、という機能を果たせないまま、結果として、現在行っている事業の改善を積み重ねていくような行政になってしまうことが懸念されます。
以上、この3点について、市の問題認識と、第6次総合計画策定における改善の方向性をお聞きかせください。
(2)番、計画の検討プロセスについて、市民参加の観点でお聞きします。
実効性のある戦略の策定には、市民の意見やアイディアが不可欠と考えます。問題は、それをどう引き出すかにあるのではないでしょうか。
第6次総合計画の検討にあたっては、紙面での市民アンケートや、全4回の市民ワークショップが実施されました。
このワークショップでは、論点が提示されることがないまま、ただただ自由にアイディアを出してくださいというものでした。
しかしながら、このように自由に意見を求めるだけでは、要望や不満の寄せ集めになりがちです。
今回のワークショップも同様であり、本来市民から得るべき情報を十分に得られたようには見えません。
意見を聞くあたっては、ある程度、課題を共有して、論点を整理して、たとえば、第5次総合計画や日高市の現状についての執行部の考える問題点、もしくは今後のあるべき姿の仮説、そういったものをもって、意見やアイディアを求めていくことが必要と考えます。
そのようなプロセスは、今後組まれる予定はあるのでしょうか。
さらに、総合計画の策定時に限らず、定期的に市民参加のもと、評価と見直しを行う必要があると考えます。その結果は重点施策の市民への絶好の説明機会として、全市民に分かりやすく伝えていくべきではないでしょうか。
そのような市民参加の機会は、組まれる予定でしょうか。お聞かせください。
続いて、大きな2番、移住促進についてです。
移住促進は、第6次総合計画を策定するにあたって、非常に重要なテーマであると考えます。しかしながら現状の総合計画および創生総合戦略をみると、移住促進を重要視しているようには見えません。
移住に関連する戦略として創生総合戦略にうたわれているのは、「魅力ある観光づくり」でありますが、この内容が移住促進につながるかという点については、疑問の声が多くあがっているところです。
そこで、日高市の移住促進に対する現状認識と、今後に向けたお考えをお聞きします。
(1)番、人口対策の目標値とその根拠をお聞きします。
まず、人口対策を考えるにあたって、その目標値をどう定めるかが非常に重要であるということは言うまでもありません。それによって、うつべき手も変わってきます。
日高市においては、人口が一体どういう状態になることをもって良しとするのか、という重要目標達成指標(以下略してKGIと呼びます)、これはどう設定されているのでしょうか。
現行の創生総合戦略には、人口の目標推移グラフがあり、それには出生率と転出抑制の2つの指標が達成根拠として記載されています。出生率については2040年には1.80を目指し、転出抑制については、2030年以降の純移動率が0、すなわち転出者数と転入者数が同数となるようにする、という目標になっています。
これらがKGIという理解で正しいのでしょうか。
また、これらの数字を定めた根拠をお聞きします。
(2)番、移住促進の重要性についての認識をお聞きします。
今申し上げたとおり、創生総合戦略の将来展望としては、出生率向上と転出抑制、つまり、市内の住民に対する施策のみがうたわれていて、新しく人を呼び込む移住促進については記載がありませんが、この方針は正しいのでしょうか。
出生率向上は、長年国の重要施策として取り組まれてきていますが、依然として日本の出生率は低下傾向にあります。これを活路として目標に置くということの妥当性は、再考の余地があると考えます。
また、純移動率0も、転出の抑制、つまり今いる人が出て行かないようにする、という方向に重点を置く考え方になっていますが、消極的に過ぎるのではないでしょうか。
実際、目標のグラフと比較すると、本年の時点で日高市の人口は目標より2,000人ほど既に下回ってしまっています。
人口対策としては、むしろ移住促進にこそ力を入れないと、KGIの達成は難しいと考えますが、いかがお考えでしょうか。
(3)番、移住におけるKGIと、そのターゲットをお聞きします。
移住の目標人数、何年に何人といったタイムライン、および、どういう人をターゲットとして移住を促していくのか、たとえば、家族構成、年代、ライフスタイル、嗜好などといったプロファイリングは、どう定めているのでしょうか。
(4)番、目標達成のための戦略とその組み立て方についてお聞きします。
創生総合戦略には4つ戦略が示されていますが、このうち、移住促進につなげる主な戦略は、戦略1「曼殊沙華・高麗群建都1300年からつながる”魅力ある観光づくり”」のように読めます。
しかし、その内容をみると、観光客を増やすことについては書かれていますが、観光に来た人を実際に移住につなげる部分の施策は、ありません。
また、観光を入り口に移住を促すのであれば、観光客の数よりも、質。つまり、ターゲットに合った世帯を呼んで、そのターゲットに響くPRをすることが、効果的ではないでしょうか。
そして、そもそも観光が、本当に移住促進の戦略の柱として効果的なのかについても、疑問を禁じ得ません。
いずれにせよ、移住促進戦略には、ストーリーとしての戦略が示されるべきと考えます。
ストーリーという言葉は、楠木健教授の著書「ストーリーとしての競争戦略」で広く一般的になりましたが、要するに、戦略とは、数々の施策の寄せ集めではなく、それぞれの施策が順序をもってどのように機能するのかを、一本の物語として語れる必要があるという考え方です。
近隣市町村と類似するような施策を、ただ数多く打ち出すのでは、移住理由としては弱く、予算ばかりがかかります。そうではなく、ターゲットを見極め、彼らに響くかたちで、日高というまちの目指す方向性、そして、日高だからこそできるライフスタイル、これを提案していくことが肝要です。
それは、いま日高にある資産を、一本のストーリーとして紡いでいくことです。最初の質問Ⅰで述べました、市のビジョンを描くことにつながります。
そして、そのストーリーに共感する世帯がたくさん移住してくることが大事です。なぜなら、そういう移住者たちは、そのストーリーに描かれた日高の目指していきたい姿を共有できているので、彼らの手によって、実際のまちづくりがさらに進んでいく、そういう好循環を生んでいくことこそが、戦略になってくるわけです。
こういったストーリーを、今後どのようにつくっていくのかを、お聞きかせください。
(5)番、市民との協働における課題と対策をお聞きします。
移住したいと思ってもらえるようなようなまちづくりにあたっては、市民との協働はこれからますます重要になってくることは言うまでもありません。
今後、行政としては、主にどのような点で市民に協働を期待しているのでしょうか。
それにあたっての現状の課題と、そのための対策をお聞きかせください。
1(1)
日高市総合計画及び移住促進施策についてのご質問に順次お答えいたします。
はじめに、第6次日高市総合計画についての1点目、新計画の基本的な考え方と構成についてお答えいたします。
当市は、平成23年度から令和2年度までの10年間を計画期間とする「第5次日高市総合計画」を策定し、基本構想に掲げた将来都市像「笑顔と元気を 未来(あした)へつなぐ 緑きらめくまち 日高」の実現に向け、市政運営を行っているところでございます。現在、次期計画の策定に向けて、準備を進めておりますが、この10年間で本市を取り巻く社会情勢は大きく変化してきております。人口は、平成23年の57,896人をピークに減少が続いており、令和元年8月1日現在の総人口は55,779人で、ピーク時から約8年間で2,117人の減少となっております。また、65歳以上の老年人口の割合は、21.8%から32.1%に上昇しており、今後も急速に少子高齢化が進むと予測しております。
今後、税収の減少や地域経済への影響は避けられず、持続可能な行政運営を行っていくために、施策によっては大きく転換を図るとともに、計画的かつ適確な資源配分を行うことが求められております。
以上のような認識のもと、「第5次日高市総合計画」の検証を行い、令和3年度以降における本市の新たな将来都市像を明らかにする、市の最上位計画「第6次日高市総合計画」の策定に取り組んでいるところでございます。
なお、策定にあたっては、次の5つの基本姿勢で取り組むこととしております。1.多様な市民参加機会の創出
2.市民にわかりやすい計画
3.本市の特性を生かした計画
4.人口減少社会に対応した計画
5.持続可能な行政運営でございます。なお、議員ご指摘のとおり、将来都市像については、誰が見ても日高市の進むべき方向性が分かるものとするとともに、日高市の特徴がみてとれる内容となるよう、市民と行政との共通認識を図ってまいります。さらに、目標達成に向けた戦略、道筋についても示せるように進めてまいります。
1(2)
次にご質問の2点目、策定にあたっての検討プロセスについてお答えいたします。基本構想における将来都市像につきましては、10年後の当市のイメージを市民誰もが思い描けるものにするため、昨年度実施した市民意識調査の結果や市民ワークショップにおける提言を踏まえて決定したいと考えております。
また、基本計画の素案作成におきましても、これらを庁内にフィードバックして十分な議論を重ねてまいります。
計画策定後の進行管理における市民参加につきましては、現在も行政経営審議会や市民参加による外部評価をお願いするなど、市民目線に立った事務事業の見直しを行っているところでございます。2(1)
続いて、大きな2点目の移住促進について、順次お答えいたします。まず、1の人口対策の目標とその根拠についてでございますが、移住促進策についての本市の計画は、平成28年3月に策定の「日高市まち・ひと・しごと創生総合戦略」でございます。
この戦略については、直接的な表現としては、重要目標達成指標(KGI)を掲載しておりません。
2(2)
次に、2の移住促進の重要性についての認識でございますが、本市においては、平成23年をピークに人口が減少局面に移行し、国立社会保障・人口問題研究所が平成24年1月に公表した本市の人口推計では、2045年には42,217人になると予想されております。持続可能なまちづくりを推進するためには、本市に移り住み、住み続けてもらう人を増やす取り組みが、本市においても重要課題であると認識しております。
2(3)
次に、3点目のKGIとターゲットについてでございますが、KGIについては、現行のまち・ひと・しごと創生総合戦略には明記しておりませんが、死亡と出生の差である自然減の約300人を、転入と転出の差としての社会増で補えば、人口を維持できることになります。また、ターゲットにつきましては、昨年実施した第6次日高市総合計画を策定する上でのアンケート調査にもありましたが、本市に「住み続けたいと思う」主な理由に、約7割弱の方が「自然環境が良い」を挙げていることからも、本市の魅力であると認識しております。
また、地方への移住に興味のある500人を対象に、内閣府で行った若者の移住に関する調査結果では、約5割の方が「山・川・海などの自然にあふれた環境」を、約3割の方が「子育てに適した自然環境」を理由として挙げております。
都心から40キロ圏内の本市において、豊かな自然は、大きな魅力であり、それに興味を抱く方が少なからず存在することに、期待を寄せているところでございます。
「子育て世代」をターゲットとしております。
2(4)
次に、4点目の目標達成のための戦略(ストーリー)とその組み立て方についてでございますが、現行のまち・ひと・しごと創生総合戦略におきましては、4つの戦略を総合的に推進することで、人口抑制を図ることとしております。具体的事業といたしましては、「遠足の聖地推進事業」、「同居近居促進事業」、「新婚ウェルカム住まいる事業」、「公立保育所での英語あそび」、「マタニティタクシー制度」、企業誘致や産業系の土地区画整理事業の推進でございます。
2(5)
最後に、5点目の市民との協働における課題と対策について、お答えいたします。まちづくりにおいて、市民と協働することは、議員ご指摘のとおり、これからの本市において活力ある行財政運営を行っていく上で、大変重要であると認識しております。
行政のみのPRでは足りない部分について、日高市に転入された方を「広報ひだか」の裏面ページ「ひだかの魅力・再発見」でご紹介するとともに、市ホームページにも掲載することで市民の生の声によるPRを行っております。
また、昨年度は、市シティプロモーション動画「行こう!遠足の聖地へ」を制作する際にも多くの市民の皆さんに、エキストラとして参加いただくなど、市民との協働による移住促進施策を展開しております。今後も、日高市が好きになり転入いただいた方なども含め、多くの市民の皆さんとの協働により移住促進施策を進めてまいります。
質問1の(1)について再質問いたします。
ご答弁で「この10年間で本市を取り巻く社会情勢は大きく変化」していると述べられていましたが、その状況を打開するに足りるビジョンを、第6次総合計画で示すべきというのが質問の趣旨です。
そのために、現状の第5次総合計画についての問題意識を踏まえての改善となるのかをお聞きしたく、先ほど3点の問題を挙げまして、それらについての認識をお聞きしました。改めて、お答えをお願いします。
まず1点目の、日高市ならではのビジョンがない、これについては、いかがお考えでしょうか。
総合計画は、行政の様々な分野における施策を網羅した計画であるため総花的であったり、優先順位を明確にしきれないといった面も見受けられます。
基本構想における将来都市像については、市の明確な方向性を表現したものとするという考えもあるとは思いますが、具体的すぎると逆に偏った表現と捉えられかねないといったリスクもあろうかと思います。
このようなことから、将来都市像につきましては、市の方向性を示す強烈なメッセージを示すのではなく、市の特徴を捉え、市民の意見を反映させたイメージ像のようなフレーズにしたいと考えております。
将来都市像のフレーズをどうするというような詳細なことは、現時点で議論することではないと考えています。それよりも、従来の構成に縛られることなく、ビジョンをしっかりと示すべきと申し上げております。
また、「偏った表現と捉えられかねないリスク」があるとのことですが、そのリスクを避けて、おっしゃるような総花的で優先順位の分からないような計画をつくるのでは、市民に何の方針も示せないまま、現状踏襲の施策をただ継続していくことになってしまうことを懸念しています。
行政サービスが市民生活の多方面に及んでいる以上、それらに触れれば広範囲に及ぶのは自明のことです。戦略を示すのは別次元でやるべきことです。リスクと捉えるのではなく、本市を取り巻く社会情勢が大きく変化しているとおっしゃるのであれば、取り組むべきではないでしょうか。
日高市が、どのようにして日高市ならではの強みを育てていくかが根幹にあって、その上で、各分野に施策が展開されるべきなのではないでしょうか。
お答えいたします。
将来都市像を含みます基本構想につきましては、先ほど申し上げましたとおり、市の特徴を捉え、市民の意見を反映させたイメージしやすいフレーズにするとともに、基本計画あるいは実施計画においては、選択や集中の方針が市民に伝わるよう意を配してまいります。
では、2点目、ビジョンと施策に一貫性がない、という点については、いかがお考えでしょうか。
総合計画は、「基本構想」、「基本計画」、「実施計画」の三層構造となっており、「基本構想」が目的、「基本計画」が戦略、「実施計画」が戦術にあたります。
新総合計画においては、これらの関連づけ、つながりに意を配してまいります。
では、3点目、構成が冗長で分かりにくい点については、いかがお考えでしょうか。
第5次総合計画につきましては、地方自治法の規定に基づき、国から示されたアウトラインを参考として策定しております。
では、これからは日高市の自由な形式で作れるということですよね。
計画の紙面構成については、市民との共通理解、また外部へのPRという観点でも、工夫していく必要があると思います。
福島県水巻町では、絵本のかたちで表現して話題になっています。町長は、これまでのような、町長のあいさつと顔写真、基本構想、基本計画など、お決まりのパターンで作るなら、その予算を福祉などに回したほうがいいと、どうせ作るなら、住民が読みたくなるようなまったく新しい形にしたかった、というようなご発言をされています。
もちろん、絵本は一つの例にすぎませんが、これまで市民から敬遠されがちだった総合計画が、読みたくなるような、分かりやすいものになれば、自然に市民参画意識の高まりにも繋がりますし、また、対外的な市のイメージアップにもなると思います。
第6次総合計画においても、従来のかたちに捕らわれない工夫がなされることが期待されますが、お考えをお聞かせください。
次期総合計画の構成につきましては、可能な限り市民の皆さんや事業者との意見交換を行うとともに、他団体の事例も研究するなど、よりわかりやすいものになるよう取り組んでまいります。
質問1の(2)について再質問いたします。
総合計画の策定にあたって、市民の意見を取り入れる予定について質問しましたが、こちらも質問にお答えいただきたいと思います。
「アンケートや市民ワークショップの結果を庁内にフィードバックして素案作成」とのことですが、案がほとんど出来上がってからの市民コメントという方法ではなくて、素案が出来た段階で、市民に意見を聞くことで、課題や問題点の発見であったり、発想の転換に繋がる議論がうまれるのではないでしょうか。
今後そのような機会は設定されますでしょうか。
総合計画においては、素案作成にあたり市民意識調査及び市民ワークショップを既に行っておりますので、素案ができた段階で市民コメントを行いたいと考えております。
なお、その前段として、まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定過程において、市の現状やあるべき姿などの仮説をもって市民の皆さんに意見を聞く機会を設けたいと考えております。
大きな2番、移住促進対策に移ります。(1)について再質問いたします。
直接的な表現としてはKGIは設定していないとのご答弁でしたが、表現はともかく実質的には、出生率・移動率がKGIとして定められているように読めますので、その根拠を、法的根拠ではなく、これらの数字の算出根拠をご質問しました。
国からの人口ビジョンによって定められた算出方法だけでなく、日高市独自に、意味のあるKGIを設定していくべきと考えます。お考えをお聞かせください。
平成27年度に策定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」におきましても、人口の将来展望として人口減少の抑制を目指すことのみを示しているものでございます。
期計画においては、移住対策の目標(KGI)について、検討してまいります。
是非お願いします。続いて(2)番について再質問いたします。
移住促進は重要課題であるとのご答弁をいただきましたが、申し上げました通り、現状の創生戦略では、移住促進がうたわれていません。
次の改定では、その点を出生率向上や転出抑制と同様またはそれ以上に重要施策として位置づけていかれる予定でしょうか。
移住促進については、現行のまち・ひと・しごと創生総合戦略では、具体的な記述はございませんが、人口減少の抑制に向けた様々な事業に取り組んでまいりました。
議員ご指摘のとおり、次期まち・ひと・しごと創生総合戦略には、移住促進を人口対策の柱のひとつとして具体的に掲載できるよう検討してまいります。
では、(3)番について再質問いたします。
先ほど、次期の計画には、総人口としてのKGIの記載を検討いただけるとのことでしたが、移住促進に関しても、KGIおよびタイムラインは定められる予定でしょうか。
お答えいたします。
まち・ひと・しごと創生総合戦略については、国が定めた策定指針に基づき策定する必要がありますが、重要目標達成指標(KGI)やタイムラインが掲載できるよう工夫をしてまいります。
またターゲットについてですが、移住のターゲットとなる層は、「都心からのアクセスが良くかつ自然環境の豊かなところで子育てをしたい現在都心に暮らす世帯」、というように理解しました。ここまでは全く同感です。
さらに、こういった世帯のニーズを具体的に想定して、よりリアルなターゲット設定をすることが、実効性のある戦略をつくるために必須と考えます。検討の予定はありますでしょうか。
お答えいたします。今までも新婚さんを対象とした新婚ウェルカム住まいる事業や子育て世帯を対象とした同居近居促進事業、今回導入した観光客を対象にしたインスタグラム「きてみて日高」など様々な切り口での施策を推進してきております。
今後もターゲットの設定については、計画策定の過程で検討をしてまいります。
さらなるターゲットの具体化についてはご検討いただけるとのことで、これは是非必要と思いますが、いまおっしゃった同居近居や観光客を対象にしたInstagramという施策が、現時点で既にあるターゲット、すなわち「都心からのアクセスが良くかつ自然環境の豊かなところで子育てをしたい現在都心に暮らす世帯」に、特に照準を合わせた施策というように見えないんです。
だからこそ、ストーリーを示すべきと申し上げているのですが、これに関連して、(4)の再質問に移ります。
こちらの質問のご答弁にありましたような現行の事業、「同居近居」、「新婚ウェルカム」、「保育所での英語あそび」、「マタニティタクシー」などなど、やはり、こちらもターゲットに対してなぜそれなのか、それがどのように移住に繋がるのか、がよく分かりません。
色んな打ち手が考えられるなかで、なぜそれらの事業に、移住施策としてこれまで優先的に取り組まれているのか、ほかにもっと効果的な施策はないのか、現状の創生戦略の記載では、説得力に欠けるように感じます。
目標達成に向けては、こういったバラバラとした施策の組み合わせではなくて、順序や流れのある施策体系、つまり1本のストーリーを示していく必要があるかと考えますけれども、次の改定では、そうなる予定でしょうか。
お答えいたします。ストーリーについては、5年間でKGIを達成するためのプロセスをどのように設定し、順序だてて施策を展開し、目標を達成するまでの過程を示すものであると考えております。
次期まち・ひと・しごと創生総合戦略においても複数のストーリーを描けるよう検討をしてまいります。
では、どのようなストーリーを描きうるのかということなんですけれども、若者世代のニーズは、昨今の社会情勢の変化を受けて大きく変わってきています。
従来の経済的な豊かさ、物質的な豊かさよりも、自然に触れる豊かさであったり、物質的所有にお金をかけないシェアエコノミーであったり、ノマドワークやテレワークといった場所や時間に縛られない自由な働き方、持続可能性を大切にしたライフスタイル、そういった豊かさを重視する価値観が強まってきています。
こういった潮流に対して、日高市には、まさに、こういったニーズにこたえるライフスタイルを実現できる環境として、強みにしうる要素が既に多くあります。
たとえば、安心安全にこだわった食材の生産や提供をされている方々、固定種を守る活動や、地域で助け合うコミュニティ、山林保全や森のようちえん、こういった、全国的に見てもレベルの高い活動が日高には既にたくさんあります。
このような、時代の潮流と日高の強みを組み合わせてストーリーを紡いでいくことが、日高市ならではの戦略として有効だと考えますが、いかがでしょうか。
お答えいたします。議員ご提案の内容については、参考にさせていただきます。
では遠足の聖地推進事業、こちらについては申し上げたとおり、遠足に来られる人数を増やす努力はされているようなんですけども、遠足に来られた人々に実際に移住してもらう行動に繋げるための施策が抜け落ちているように感じますが、そこについては今後、検討の予定はありますでしょうか。
遠足の聖地事業については、本市に遠足で訪れた子供たちに、本市の良さを体験していただき、次にご家族でピクニックに訪れていただく。さらには、将来的に移住に繋げる組み立てを企図したものでございます。
また、昨年制作したシティプロモーション動画の活用については、若い世代に「大人の遠足」を直接的に伝えることで、日高の良さを知ってもらい移住に繋げたいと言うものです。今後も研究してまいります。
移住して4年目の私の視点で申し上げると、現状は、観光客を移住予備群に誘因するための情報発信が、特に乏しいと感じています。例えば、巾着田のお祭りのようなイベントでは移住サポートブースのようなものを出すなり、日々訪れる観光客に移住の魅力を伝える媒体を作成するなり、必要だと思いますけれどもこちらについて、今後、検討の予定はありまでしょうか。
新たにインスタグラムを開始したり、市総合計画策定市民ワークショップの中でも検討いただいており、観光から将来的には移住につながるような情報発信についても検討してまいります。
一方で、移住予備群は、言わずもがなでありますが、必ずしも観光に興味があるわけではなく、遠足で日高を訪れるわけでもありません。まさに移住先を探している層に対しては、観光地、遠足先としてアピールするよりも、移住先として、直接的な情報提供の方が当然効果的と考えます。
むしろ、そういった層のほうが、移住施策としては、まず一番にターゲットとすべき層ではないでしょうか。その点で、移住施策としては、遠足は主戦略たりえないと考えます。
再三申し上げていることですが、ターゲットを見極めて、彼らに響く、日高でしかできないライフスタイル、これを描いて、伝えていくことが重要です。
例えば、都心部でのイベントだったり各種メディアでのPRはもちろんですが、市内でも移住検討者に魅力的なツアーやお試し移住体験を企画したりなど、遠足以外で積極的に取り組むべき施策はたくさんあると思うんですけれども、こういった事業にも、今後注力されていきますでしょうか。
昨年度制作したシティプロモーション動画については、観光に興味があるなしにかかわらず、東京都心在住者のケーブルテレビ局視聴者、約100万世帯以上を対象に、1ヶ月間、30秒の予告編を放映し、本市をまずは認知してもらう取り組みを行いました。
また、第3子以降の出生率が県内トップクラスであり、マタニティタクシー制度や公立保育所での「英語遊び」等、子育て環境の充実についてもメディアで取り上げてもらえるようPRをするなど、複数の切り口で施策を展開してきております。
今後は、移住希望者をターゲットとした主戦略を考えるべきとの議員の提言も踏まえて研究してまいります。
(5)番について再質問いたします。
市民との協働について、これまで、ひだかの魅力・再発見とか、シティプロモーション動画のエキストラといった実績があるとのご答弁でしたが、今後、必要とされる協働は、こういったレベルのことを想定されているのでしょうか。
質問は、実績ではなくて、今後、まちづくりの観点で、特に市民に期待する点と、課題認識をお聞きしたのですが、改めてお答えお願いします。
期待する点につきましては、行政のみの施策やPRでは足りない点を企業や市民の皆さんに補っていただき、一緒に施策を進めてまいりたいと考えております。
課題といたしましては、具体的な協働の内容が明確とは言えないことから次期計画では何らかの配慮をしてまいりたいと考えております。
協働は大切なので、是非明確にしていく努力をしていただきたいと思いますが、まちづくりにあたっては、今言われたような、行政では足りない部分を市民で補うという発想ではなくて、市民が自分事としてまちづくりを主体的に考え参画していくことを促していく必要があると考えます。
つまり、施策は行政が決めて、その実行部分だけを市民側に依頼するかたちでは、市民はあくまで受け身になりますし、自分事として積極的、能動的に参加してもらうというのには限界があると思います。
そうではなくて、そもそも何をやるべきかの段階から市民と一緒に考えていくことが大事なのではないでしょうか。
市民の方が自ら動いていただいている場合は、支援を求められた場合のみ市が応援する程度とし、多くのケースでは市からお願いしなければならないものと考えております。
しかしながら、市民や事業者など様々な関係者と一緒に考え、事業を推進してく必要があるものと考えております
一緒に考えて推進していく、それにあたっては、是非若い世代や、子育て世代も、取り込んで行くべきだと思います。
そこが、どこの自治会も課題になっているところではありますが、今回の総合計画市民ワークショップでも、多くの子育て世代の参加者から申し込みがありましたが、開催時間が夜であったこと、そして、依頼をしても託児がつかなかった、ということもあって、お子さんのいるお母さん達には参加がとても現実的でなく、結局最後まで参加できた方はかなり少数になってしまったという残念な印象です。
子育て世代と協働していくためには、時間帯の配慮や、時には託児の配慮も必須だと考えます。お考えをお聞かせください。
今後については、例えば、各担当がママカフェ等の子育て中の方との育児談話や公会堂でのシルバー学級等へ出向いて健康長寿の秘訣談話を行ったり、企業の総務担当の方との求人就職関係での対話を引き続き行うなど、より多くの市民の方のご意見を計画にいかしていければと考えております。