本年9月議会も皆さまの応援をいただきながら、閉会いたしました。
最終日(←今期の議案についての討論・採決が行われます)、特に議論になった議案は2つ。
①田中まどか議員に対する議員辞職勧告決議の撤回を求める請願
②国会における憲法論議の推進と国民的議論の換気を求める意見書
※その他の議案はこちら。
2つの記事に分けて、ご報告していきたいと思います。
まずは、①の請願について。
本年3月議会で決議された、「田中まどか議員に対する議員辞職勧告決議」について、その撤回を求めるものと題して、1618筆の署名とともに、請願*が提出されました。
*請願とは、市民が議会に対し希望を提出するもので、議会で審議されます。
採決にあたり
私は、採決では反対いたしました。
本請願についての対応は、正直、とても悩みました。
辞職勧告決議は、田中議員を応援されている多くの方々にとって、受け入れがたいと感じられるご心情については、よく理解できるものです。
また、私は3月議会における本決議の採択においては、退席しました。
その主な理由は、決議の内容の是非を問う以前に、これ以上、日高市議会において、このような議員間の分断が進むこと自体が、日高市議会における建設的な議論を妨げることになり、市民の利益にならないと考えたからです。(詳しくはこちら)
私のこの立場は依然として変わりませんので、本議案も同様のものとして退席することも考えました。
その方が、より本心に近い対応だったと思います。
しかし、本議案には、議会として否決せざるを得ない制度上の問題がありました。(後述の反対討論参照)
さらに、委員会審査(←私は傍聴者でした。審査の詳細はこちら。)において否決された際、反対討論がなかったことについて、残念に感じたというお声を一部頂戴しました。
請願をあげた方々にしてみれば、否決されるならせめて、議場で反対理由を聞きたいというお気持ち、よく解ります。
私が今回も退席をして、その理由をまた本HPやSNSに書いたとしても、こういったWEBサイトをご覧にならない方には届きません。(※退席では議場での発言機会は得られません)
そこで、1618筆の署名を連ねられた方々へ、すべての日高市民の方々へ、1年半ですが日高市議会を中で見てきた今、私なりのメッセージを届けられたらと考え、今回、あえて反対の立場に立ち、議場で討論したいと考えました。
反対討論という、発言にも時間にも一定の制約のある場で、出来る限りの言葉を尽くしたつもりです。
届く方に届きますように。ご理解いただけますように。
傍聴席に向かって、祈るような気持ちで、討論しました。
以下、討論の内容です。
反対討論
2番、松尾万葉香です。請願第1号、「田中まどか議員に対する辞職勧告決議の撤回を求める請願」について、反対の立場から討論いたします。
本決議は、田中議員を応援されている多くの方々にとって、受け入れがたいと感じられるご心情は、よく理解できるものです。
そのうえで、まず、本請願の、そもそもの問題を、指摘させていただきます。
議会において、一度議決された決議を「撤回」することは、制度上、成立しえないという点です。
まず、議会において「撤回」とは、議案の取り下げをさしますけれども、これは議決前の議案にのみ有効で、一度議決されたものを撤回することはできません。
また、仮に「撤回」の意味を、辞書的に、「効果を取り消すもの」と解釈したとしても、議員辞職勧告決議とは、あくまで、本決議が議決された一時点における、日高市議会の意思の表明です。田中議員を強制的に辞職させるものではありません。従って、撤回の対象となる「効果」自体が存在しません。
つまり、議会において、当決議を撤回することは、成立しえない事象です。
このように制度に適合しない議案に対しては、議会として、否決するよりないと考えざるを得ません。
この点について、請願者の方からは、本請願は「気持ちを表現」するものであるから否決されても構わない、とお聞きしました。
請願者の方のおっしゃる、「気持ち」は大切です。
署名を集められた方々、署名をされた方々のお気持ちも、大切に受け止めたいと思います。
しかし、その気持ちを「表現」することに注力するあまり、気持ちや思い、正義と正義を、ぶつけることを繰り返すことは、もう終わりにしたいと思うのです。
私は議員間の溝が深まることは、全く望んでいません。
日高市における建設的な議論を妨げ、市民の利益にはならないと考えるからです。
この春まで、私は田中議員と会派を組ませていただいておりました。
その間、議員間の無用な分断に繋がる主観的な情報発信や、議会での対応について、何度となくご意見申し上げ、話し合って参りました。しかし、残念ながら状況は、改善されていないように感じています。
そして、議会のなかでも、本件に関連する議論のために、割かれた時間はかなりのものです。
市民の皆さまには、日高市のために、市民のために、今後も、実効的で建設的な請願やご意見をいただきたいですし、そのような議論がおおいに出来る議会によりいっそう改革されていくよう、様々な視点で、しっかりと議会を見ていただき、より深いご理解と応援をお願いしたいと考えております。
以上の理由から、本請願に反対いたします。
討論にそえて
撤回が制度上不可能、これは、市民の皆さまにとっては詭弁に聞こえるかもしれません。
私も、一般感覚としては、もう少し柔軟な議会対応が出来ても良いと思います。
しかし、論点はそこではありません。
請願の趣旨を鑑みても、私はこのような請願にはあまり賛同できません。
上記討論に込めた想いを、再度、ここに吐露させてください。
昨年春、理想と期待を胸に立候補しました。
当選させていただいたときの、応援くださった旧会の方々、市民の皆さまへの感謝の気持ちは忘れません。
しかしながら、現実の議会活動において、大変な時間と労力を割かれてきたのは、政策や議案とは違ったところでの、議員間の攻防でした。
争点一つひとつを取り上げれば、必ずしも正しくない点、是正が必要な点、様々にあるでしょう。
しかし、立場が変われば、どちらも正義になりうるような事象ばかり。
そんなことを取り上げて攻防しても、市にとって利益になりません。
まして、それを、必要以上に非難するような表現をしたり、感情的な言葉をぶつける必要があるのでしょうか。
もちろん、健全な批判は必要です。
しかし、批判をするからには、それなりの礼節と、相手の主張を理解したうえでの、批判で終わらない建設的な提案、そして何より、相手は人間であるということをふまえ、どうしたら相手に自分の要求を通せるか、そういったコミュニケーションや交渉術の基本の基本があって初めて、意味のあるものになるのではないでしょうか。
もう、これ以上、日高市議会という、市民にとって大変大切な場で、議員間の不毛な攻防に、時間も税金も使いたくないというのが正直なところです。
こんなことのために、幼い息子のフォローを周囲に助けていただきながら、議員活動をしているわけではありません。
深刻な社会課題が山積するいま、そんな時間はないんです。
私自身への自戒を込めて、日高市議会への祈りを込めて言います。
不毛な攻防は、もう終わりにしましょう。
互いへの尊敬をもとに、建設的な議論を戦わせましょう。
日高市の将来を見据え、会派をも超えた議員間での徹底した議論、ビジョンづくり、そういったものに、どうか私達議員に全力を尽くさせてください。
今後も、皆さまのご意見をいただきながら、より良い日高市の実現に向けて尽力して参りますので、どうか、今後とも、私達議員をよくよく見ていただいて、より深いご理解と応援を、どうかお願い申し上げます。
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